龍且

龍且の生涯と戦績について

龍且（りょう しょ）は、生年は不明ですが、紀元前203年に戦死した楚の勇将です。彼は楚漢戦争時代に活躍し、特に項梁や項羽からの信任を受けて多くの戦に参加しました。彼の名前が初めて歴史に登場するのは、紀元前208年の夏、東阿の戦いにおいてです。この戦では、秦の将軍章邯が魏の本拠地である臨済を攻略し、楚と斉の軍を打ち破りました。その際、斉の将軍田栄が東阿に退却し、魏王の弟である魏豹もその地に逃げ込む事態となり、章邯はこれらの軍勢を追撃しました。その後、田栄は楚軍に救援を要請し、項梁はこれに応じて龍且を派遣します。彼と田栄が協力し、秦軍の攻撃を打ち破ることに成功したのです。この出来事は章邯にとって数少ない敗北の一つであり、龍且の名声が高まるきっかけとなりました。

その後、龍且は項氏一族の将軍たちと共に戦に出動することが多くなり、その実力がさらに評価されていきました。特に紀元前206年には、漢王劉邦が起兵し三秦を平定すると、彼は魏の国相である項它と共に、漢軍の将軍灌嬰と戦いますが、ここでは敗北を喫しました。

紀元前204年の戦では、龍且は項声と共に淮南に進軍し、英布の軍を壊滅させる戦果を上げます。この戦いでは英布が漢に逃げる事態となりました。さらに、紀元前203年の10月には、韓信が臨淄を平定したのを受けて、項羽から軍を指揮するよう命じられ、周蘭を副将とし20万の兵を率いて出陣します。この時の状況は非常に厳しいものでした。

龍且には持久戦を進言する者もいましたが、彼は韓信を侮り、その言を聞き入れませんでした。戦いが始まると、彼は韓信との対峙に臨みますが、韓信は巧妙に罠を仕掛けていました。彼は夜間に濰水上流に土嚢を積み、堰を作って水を堰き止めておいたのです。

戦闘が始まると、韓信は龍且の軍に対して奇襲を仕掛け、偽って退却しました。これを見た龍且は韓信の勇気を疑い、追撃を行いました。しかし、韓信は事前の計画通りに土嚢の堰を決壊させ、龍且の軍に反撃を加えます。結果として、龍且は灌嬰の軍に討ち取られてしまうのです。

このように、龍且は楚漢戦争の中で勇敢に戦い続けましたが、最終的には韓信の策略に敗れることとなりました。彼の戦歴や評価は、当時の激動の時代を象徴するものとして、後世に語り継がれています。

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