項它

項它（こうた、紀元前198年没）

項它は、秦末から前漢初期にかけて活躍した武将で、項羽の従兄の子にあたります。彼はその背景から、多くの戦争と変動の中で重要な役割を果たしました。彼の人生は、戦乱の時代における義務と忠誠の象徴といえるでしょう。

生涯の概要

項它が登場するのは、秦末の混乱を背景にした時期です。二世元年（紀元前209年）9月、彼の叔父である項梁が会稽郡守の殷通を殺害することで、項梁は新たに会稽郡守となります。この事件により、項羽と項它は大きな動乱に巻き込まれることとなりました。

二世二年（紀元前208年）には、項梁が陳勝の名を騙った召平により、張楚の上柱国に任命され、8,000の精鋭を従えて出兵します。項它もこの戦に参加したと考えられ、彼の軍事的な活動が始まります。

しかし同年4月、魏の都を侵攻してきた秦の章邯に対抗するため、項它は援軍として魏に派遣されますが、周巿とともに敗北を喫します。この戦闘で周巿が戦死したことは、項它にとって大きな打撃でした。

楚漢戦争と項它の活動

高祖元年（紀元前206年）には、項羽が秦を滅ぼし、西楚の覇王となりますが、この時期には漢王劉邦が侵攻してくる中、楚漢戦争が勃発します。項它はこの争いの中でも重要な役割を果たします。

高祖2年（紀元前205年）3月、彼は魏国の相に任命され、項羽の将・龍且とともに漢軍と戦いますが、これも敗北に終わります。同年8月には魏の王・魏豹の歩卒将に就任しますが、劉邦からはその能力を疑問視され、心配される立場となります。

9月には漢軍の韓信・曹参・灌嬰に対抗しようとしますが、逆に撃破されてしまい、魏の地は漢に平定されます。

最期の戦いとその後

高祖3年（紀元前204年）には、韓信が斉を攻略する中、項它は項羽の指示を受けて大将として斉の救援に向かいますが、再び敗北し、龍且は戦死してしまいます。この一連の戦争での彼の活動はすべて、項羽への忠誠に基づいていました。

高祖4年（紀元前203年）になると、韓信が斉を攻め、淮水北方を奪回するために項它が派遣されますが、やはり捕虜となり、様々な土地が劉邦側に降伏する結果となりました。

最終的に高祖5年（紀元前202年）には項羽が敗北し、自害することになります。項它もその後、漢の碭郡の郡守として任命され、劉邦の配下となります。

子孫と名誉

項它の死後もその血筋は続き、彼の子や孫は平皋侯となるなど、その名は後世に引き継がれました。恵帝の時代には、彼の子が侯に任命され、さらに次世代にも名誉は受け継がれました。劉光や劉侯勝など、彼の子孫はそれぞれ独自の足跡を残し、項它の名声を保ち続けました。

彼の生涯と業績は、古代中国の歴史における一つの重要な部分であり、武将としての忠誠と奮闘の象徴として記憶されています。

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