龍光寺 (宇和島市)

龍光寺（りゅうこうじ）

龍光寺は、愛媛県宇和島市三間町戸雁に立地する真言宗御室派に属する寺院で、稲荷山護国院としても知られます。この寺の本尊は十一面観音であり、四国八十八箇所の第四十一番札所として、多くの巡礼者に親しまれています。

本尊とその神言

寺で祀られている本尊には真言があり、「おん まか きゃろにきゃ そわか」という言葉が唱えられています。また、この寺には特有の詠歌があり、「この神は三国流布の密教を 守り給わむ誓いとぞ聞く」というものがあります。

歴史と沿革

伝説によれば、寺の創立は平安時代に遡ります。空海（弘法大師）がこの地を訪れた際、白髪の老人と出会い、これが五穀大明神の化身であると理解しました。その後、稲荷明神像を彫り、祀ることになったと言われています。この寺は、十一面観世音菩薩が本地仏であり、不動明王と毘沙門天が脇侍として共に祀られています。

現存する場所は、元々稲荷田と呼ばれる地域にあったとされ、1653年には火災によって小堂が残るのみとなりましたが、1688年に現在の場所へ移されました。それ以降、神仏習合の寺として広く信仰を受けるようになり、江戸時代には「三間の稲荷」として、多くの人々に親しまれました。江戸時代前期には「立光寺」という名で神宮寺としても存在していたことがあります。

明治時代には神仏分離令が施行され、稲荷神社と寺院が別々の存在となりました。この際、旧本堂には稲荷大明神像が、そして観音堂には本地の十一面観音像が移されたのです。また、納経の記載も変更がなされました。

境内の構成

境内には、参道の入口を示す石の鳥居が建っています。狛犬は境内の入口に位置し、訪れる参拝者を見守っています。本堂には本地十一面観音が祀られており、彩色された坐像とされています。また、秘仏として稲荷明神像も存在し、まだ現住職が見たことがないと言われる「龍の目玉」とされる石も秘蔵されています。

大師堂には大師像が安置され、金色の孔雀明王が鎮座しています。また、右側には上がるための階段も用意されています。境内には鐘楼や水子地蔵石像、さらには七福神の像も存在し、参拝者の心を和ませます。赤い鳥居をくぐって進むと、稲荷神社が待っています。

設備と文化財

寺の宿坊はありませんが、駐車場は無料で12台分のスペースが確保されています。また、この寺院は国の史跡に指定されており、特に伊予遍路道に関して重要な位置を占めています。稲荷神社本殿は市指定の有形文化財としても保護されています。

アクセス情報

四国旅客鉄道の予土線「務田駅」または「伊予宮野下駅」から約1.5kmの距離で、宇和島バスを利用する際は「森ヶ鼻」停留所で下車し徒歩約0.8kmの距離にあります。道路では愛媛県道31号宇和三間線の龍光寺が目印となります。

結び

龍光寺は、長い歴史を持ち、地域の人々にとって重要な信仰の場であるだけでなく、訪れる人々に静けさと安らぎを与える場所です。是非、訪れてその魅力を実感してみてください。

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