予土線

予土線

予土線は、高知県四万十町の若井駅から愛媛県宇和島市の北宇和島駅までを結ぶ、JR四国の地方交通線です。愛媛県南予地方と高知県西部を結ぶ唯一の鉄道路線であり、四万十川沿いの景観を楽しむことができることから、「しまんとグリーンライン」の愛称で親しまれています。

路線概要

管轄: 四国旅客鉄道（JR四国）
建設主体: 日本鉄道建設公団（現 鉄道建設・運輸施設整備支援機構）（江川崎駅～若井駅）
営業キロ: 76.3km
軌間: 1067mm
駅数: 20駅（起終点駅含む、予土線所属は19駅）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）
閉塞方式:
若井駅～川奥信号場: 自動閉塞式
川奥信号場～北宇和島駅: 特殊自動閉塞式（軌道回路検知式）
交換可能駅・信号場: 6箇所（川奥信号場、土佐大正駅、江川崎駅、吉野生駅、近永駅、伊予宮野下駅）
最高速度:
若井駅～川奥信号場間: 110km/h
川奥信号場～江川崎駅間: 85km/h
江川崎駅～北宇和島駅間: 65km/h
最急勾配: 30‰
最小曲線半径: 160m

沿線風景

予土線は、四万十川の清流に沿って走る区間が多く、その美しい風景が魅力です。特に土佐大正駅～江川崎駅間は、蛇行する四万十川を縫うように線路が敷かれており、車窓からは両側から四万十川の絶景を望むことができます。また、毎年5月頃には、十川駅前で「こいのぼりの川渡し」が行われ、多くの観光客で賑わいます。

北宇和島駅～吉野生駅間は、かつて軽便鉄道だった宇和島鉄道の名残で、カーブが多く低速で運行されています。一方、江川崎駅～若井駅間は1970年代に新設された高規格路線であり、比較的速い速度で運行されています。

運行形態

予土線では、特急列車は運行されておらず、全列車が普通列車かつワンマン運転です。高知県側からは、土讃線窪川駅から列車が発着しています。窪川駅発着の場合、若井駅～窪川駅間は土佐くろしお鉄道中村線となるため、別途運賃が必要です。

全線を直通する窪川駅～宇和島駅間の列車は1日4往復、その他に区間運転列車も運行されており、1～3時間に1本程度の運行となっています。

使用される車両は、主にキハ32形やキハ54形などの小型気動車です。かつては、急行「あしずり」や快速列車が運行されていた時期もありました。

また、沿線で増加する鹿との衝突対策として、車両の前面下部には鉄棒が装着されています。

トロッコ列車

予土線では、トロッコ列車「しまんトロッコ」が運行されています。この列車は、貨車を改造したもので、開放的な窓から四万十川の風景を楽しむことができます。トロッコ車両に乗車できる区間は、江川崎駅～土佐大正駅間です。トロッコ車両は全席指定席で、乗車には指定席券が必要です。また、トロッコ車両には車掌が乗務し、観光案内や記念乗車証の配布を行っています。

ホビートレイン

予土線では、観光客誘致のため、様々なホビートレインが運行されています。

海洋堂ホビートレイン: 海洋堂のフィギュアを展示した列車で、現在は「かっぱうようよ号」として運行しています。
鉄道ホビートレイン: 0系新幹線をイメージした列車で、「プラレール号」としてプラレールを展示していました。

ラッピングトレイン

予土線では、沿線の魅力を発信するラッピング列車も運行されています。

鬼列車: 鬼北町のシンボル「鬼王丸」などをデザインした列車。
海洋堂ホビートレイン「ウルトラトレイン号」: ウルトラマン55周年記念特別展をテーマとした列車。
しまんと開運列車 すまいるえきちゃん号: 四万十町とコラボした、ラッキーセブンリーフなどをデザインした列車。

臨時特急「I LOVE しまんと」

過去には、臨時特急「I LOVE しまんと」が高知駅～宇和島駅～松山駅間で運行されていました。専用車両が使用され、車内にはペイントが施されていました。

伊予灘ものがたり

2021年には、観光列車「伊予灘ものがたり」が初めて予土線（宇和島駅～松丸駅間）で運行されました。

輸送状況

予土線の輸送密度は低く、赤字路線となっています。このため、沿線自治体は利用促進策に力を入れています。2023年10月には、「予土線利用促進対策協議会」が設立されました。

歴史

予土線の歴史は、1914年に開業した私鉄の宇和島鉄道に始まります。1933年に国有化され、宇和島線となりました。その後、路線が延長され、1974年に全線が開通し、予土線と改称されました。

国鉄末期の特定地方交通線の廃止対象路線にも選ばれましたが、並行道路の未整備を理由に存続しました。

駅一覧

以下は、予土線の駅一覧です。

若井駅
川奥信号場
土佐大正駅
土佐昭和駅
十川駅
半家駅
江川崎駅
真土駅
吉野生駅
松丸駅
出目駅
近永駅
二名駅
伊予宮野下駅
務田駅
北宇和島駅

予土線内は、全ての駅が無人駅となっており、みどりの窓口も設置されていません。ただし、両端の窪川駅と宇和島駅にはみどりの窓口があります。

予土線3兄弟、Yodosen Fun Fun Trains

予土線では、「しまんトロッコ」「海洋堂ホビートレイン」「鉄道ホビートレイン」を「予土線3兄弟」と名付け、観光PRを行っています。また、近年運行を開始したラッピング列車を含め、「Yodosen Fun Fun Trains」として、様々なイベントを開催しています。

予土線は、四万十川の美しい風景や、個性的な列車が魅力のローカル線です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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