龍城

龍城（りゅうじょう）

龍城は、現在の遼寧省朝陽市双塔区に位置し、かつて前燕、後燕、北燕という三つの燕（合わせて三燕と呼ぶ）が都を置いた場所です。

歴史

三燕の都

十六国時代、遼西・遼東地域で勢力を誇った東部鮮卑の慕容皝は、337年に燕王を自称しました。その後、東晋から燕王の称号を正式に認められると、342年に柳城の北、龍山の東に龍城を建設し、都としました。柳城は古くから華北と東北地方を結ぶ軍事・交通の要衝であり、慕容皝は龍城を拠点として中国化を推し進め、華北への進出を図りました。

354年に皇帝を称した慕容儁は、都を薊城（現在の北京市大興区）に移し、龍城には留台を置きました。しかし、前燕は西方に勃興した前秦との対立を深め、370年に前秦の苻堅によって滅ぼされます。

383年の淝水の戦いで前秦が崩壊すると、慕容垂は後燕を樹立し、華北の中山を都としましたが、龍城は陪都として機能しました。397年、北魏の攻勢に苦しんだ後燕の王、慕容宝は龍城に逃れ、以後遼西に留まることになります。

407年に後燕を簒奪して成立した北燕も龍城を都とし、436年に北魏によって滅ぼされるまでその状態は変わりませんでした。

文化的な影響

龍城を中心とするこの地域の鮮卑系文化は、黄金文化や騎馬文化といった要素を含み、朝鮮半島や日本列島の古代文化に大きな影響を与えました。実際に、この地域の墳墓から出土した器物と同様のものが、日本の墳墓からも発見されています。

龍城は、三燕の盛衰を見守った歴史的な都城であるとともに、東アジアの文化交流における重要な拠点でもありました。

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