龍岩寺 (宇佐市)

龍岩寺

龍岩寺（りゅうがんじ）は、大分県宇佐市院内町大門に位置する曹洞宗の寺院です。清浄山という山号を持ち、深い歴史と文化を今に伝えています。

歴史

寺の創建は、天平18年（746年）に遡ります。宇佐神宮を参詣した行基が、龍女の導きにより、一夜にして阿弥陀如来、薬師如来、不動明王の三尊を刻んだと伝えられています。行基が全国に建立した49の院の一つであり、この地名である院内（いんない）の起源になったという説も存在します。

しかし、天正年間（1573年 - 1592年）には、キリシタン大名であった大友宗麟による焼討ちによって寺は焼失してしまいました。幸いにも、奥の院と本尊である三尊は焼失を免れ、現在では国の重要文化財に指定されています。

文化財

龍岩寺は、数々の文化財を保有しています。特に重要なのは以下のものです。

重要文化財（国指定）

木造阿弥陀如来坐像：1949年5月30日に指定されました。
木造不動明王坐像：同じく1949年5月30日に指定されています。
木造薬師如来坐像：こちらも1949年5月30日に指定されています。

これらの三尊像は、平安時代後期に制作されたとされ、樟（クスノキ）の一木造で、白木のままの姿をしています。一本の楠の大木から作られたと伝えられ、彩色や切金などの装飾を一切行わず、衣文の細部を省略して平面的に処理した、非常に特徴的な様式を持っています。三尊は、奥院礼堂内に自然の岩壁を背景に安置されており、その姿は訪れる人々を魅了します。

龍岩寺奥院礼堂：1954年9月17日に指定されました。

奥院は、大分県内において唯一現存する鎌倉時代の木造建築物です。岩の窪みに張り付くように建てられており、正面3間、側面2間の規模を持ちます。屋根は緩やかな片流れの板葺きで、懸造（かけづくり）という特殊な構造をしています。三仏寺投入堂（鳥取県）や不動院岩屋堂（鳥取県）と共に「日本三大投入堂」の一つに数えられています。また、奥院へと続く階段は、「きざはし」と呼ばれ、三尊を刻んだ際に残った丸太を削って造られたと伝えられており、伊勢神宮にも同様の様式が見られる珍しいものです。

龍岩寺は、その歴史的価値と美しい景観から、多くの人々が訪れる場所です。訪れる際は、静かにその雰囲気を楽しむことが望ましいでしょう。

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