龍川郡

龍川郡（リョンチョンぐん）

龍川郡は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の北西部に位置する平安北道に属する郡です。鴨緑江の河口に位置し、黄海に面しています。龍岩浦は河港として栄え、地域経済において重要な役割を果たしてきました。郡の北中には労働者区が設けられています。

地理

龍川郡は鴨緑江河口の東岸に位置し、肥沃な龍川平野の中心を占めています。北に新義州市、南に塩州郡、東に枇峴郡が隣接しています。鴨緑江の河口を隔てて西には、薪島郡と中国遼寧省の東港市があります。

郡の東北部には、平義線の龍川駅（旧楊市駅）があり、この付近が行政の中心である龍川邑となっています。龍川駅から多獅島へ向かう鉄道路線（多獅島線）に沿って、中部に北中労働者区、西部に龍岩浦労働者区が位置しています。

行政区画

龍川郡は、1邑、3労働者区、そして19の里を管轄しています。

歴史

現在の龍川郡の範囲は、1952年の北朝鮮の行政区画改編によってほぼ確立されました。それ以前は、現在の塩州郡を含む広い範囲を占めていました。また、現在の薪島郡は、1988年に龍川郡から分離して成立しました。

20世紀初頭、1903年にはロシアが龍岩浦の軍港化を企図し（龍岩浦事件）、これが日露戦争へとつながる要因の一つとなりました。日本統治時代には、郡庁が置かれた龍岩浦、その南に工業地域として開発された多獅島（現在は塩州郡に属する）が中心地となり、新義州と龍岩浦・多獅島を結ぶ多獅島鉄道沿線が工業地帯として発展しました。1943年には、東洋軽金属（後の三井軽金属）楊市工場がアルミニウム精錬を開始し、終戦時には従業員数が千人を超え、生産能力は2万トンに達しました。

交通

龍川郡には、平義線と多獅島線が通っています。

平義線: 龍州駅 - 龍川駅
多獅島線: 龍川駅 - 北中駅 - 龍岩浦駅

産業

龍川郡は、農業、工業、水産業がいずれも重要な役割を果たしています。特に工業は、解放後急速に発展しました。北中では機械工業が盛んです。

龍川駅列車爆発事故

2004年4月22日、龍川駅構内で硝酸アンモニウムを積んだ貨物列車が大爆発を起こしました。この事故により、駅周辺の建物が多数倒壊し、多くの死傷者が出ました。事故発生時、金正日総書記の専用列車が付近を通過した直後であったため、テロの可能性も指摘されました。その後、復興が進められ、現在では事故の痕跡はほとんど見られません。

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