龍泉寺 (奈良県天川村)

龍泉寺について

龍泉寺（りゅうせんじ）は、奈良県吉野郡天川村に位置する真言宗醍醐派の大本山です。山号は大峯山であり、本尊として弥勒菩薩が祀られています。この寺は、山上ヶ岳にある大峯山寺の護持院の一つとしても知られ、修験道の中心的な場として重要な役割を果たしています。

龍泉寺の概要

龍泉寺の境内には「龍の口」と称される泉があり、そこから湧き出る清水は修験者たちによって「清めの水」と呼ばれ、特に重要視されています。この泉の流れは池に至り、そこは大峰山の第一の水行場とされています。修験者たちは、洞川から大峰山に登る際に、宗派を問わず龍泉寺にて水行を行い、八大龍王尊に道中の安全を祈ることが慣習となっています。

毎年10月の第2日曜日には、八大龍王堂大祭が行われ、地域の人々や参拝者で賑わいます。また、龍泉寺は洞川地区における中心的な寺院として、龍王講社を組織し、多くの参詣講を主催しています。

龍泉寺の歴史

龍泉寺の起源は、文武天皇4年（700年）頃に遡ります。この時、役小角が大峯山で修行中にこの地で泉を見つけ、「龍の口」と名付け、小堂を建てて八大龍王を祀ったとされています。その由来から寺名も龍泉寺となりました。

しかし、寺の創建から200年ほど経った頃、寺の近くにある「蟷螂の岩屋」に雌雄の大蛇が住み着くようになり、多くの修験者たちが訪れなくなり、寺は衰退の危機に瀕しました。そこで、修験道の祖とされる聖宝（理源大師）が真言の力を用いて大蛇を退治し、寺を再興しました。この出来事がきっかけで、龍泉寺は当山派の有力寺院として再び息を吹き返しました。

明治時代には、吉野地域内にある他の寺院と共に山上ヶ岳にある大峯山寺の護持院の一つとして位置づけられるようになりました。1946年（昭和21年）には洞川大火に見舞われることになり、本堂などが焼失しましたが、八大龍王堂は唯一焼け残り、1960年（昭和35年）には本堂が再建されました。興味深い点は、それまで厳守されていた女人禁制がこの再建時に解禁されたことです。

境内の構成

龍泉寺の境内には、多数の重要な構造物があります。1960年に再建された本堂を始め、神聖殿、便殿庫裏（滋賀県彦根市の彦根城から移築）、寺務所、鐘楼、八大龍王堂（2001年に再建）などです。

「龍の口」は役行者が発見した場所とされ、また、龍王の滝は女性修験者の水行場として設けられました。境内には北側と南側に池があり、南側の池は大峯山の第一水行場としても知られています。さらに、弁天堂や修験門、総門、山上参籠所も含まれています。

さらに、境内の裏山は県指定の天然記念物となっており、地域の自然環境も大切にされています。

交通アクセス

龍泉寺の所在地は奈良県吉野郡天川村洞川494で、近鉄吉野線の下市口駅から奈良交通バスに乗り、洞川温泉行きの終点で下車後、徒歩5分の距離に位置しています。

結論

龍泉寺は修験道の信仰の場として、また地域の文化と歴史を支える重要な寺院です。特に泉の神秘的な魅力や、信仰の中心地としての役割は、訪れる人々に深い感動を与え続けています。

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