龜徳正之

龜徳正之（きとく まさゆき）：激動の時代を駆け抜けた大蔵官僚

龜徳正之は、1916年3月3日に青森県で生まれ、2014年3月5日に誤嚥性肺炎のため98歳で生涯を閉じました。彼は、日本の大蔵官僚として、激動の昭和の時代を、戦前、戦中、戦後と、それぞれの時代において重要な役割を果たしました。

若き日のエリート官僚

舊制一高を経て東京帝国大学法学部政治学科を卒業した龜徳は、1940年10月に高等試験行政科・外交科に合格し、エリート官僚としての道を歩み始めます。1941年4月には大蔵省に入省し、主税局に配属されました。しかし、太平洋戦争の勃発により、そのキャリアは一時中断されます。

戦時中の従軍と終戦

1942年1月、龜徳は大蔵省を退職し、海軍主計中尉として軍務に就きます。海軍経理学校での補修学生を経て、羽黒乗組、横須賀鎮守府付（総力戦研究所）などを歴任し、1943年11月には海軍主計大尉に昇進しました。戦況が悪化するにつれて、彼は小スンダ民生部員や小スンダ政務部主計課長として、占領地での行政にも携わりました。終戦後の1947年2月に予備役となり、軍人としての生活を終えました。

戦後の復興期、大蔵省への復帰

終戦後、龜徳は1947年5月に国有財産局で官僚としてのキャリアを再開します。その後、経済安定本部財政金融局資金課、同企業課などを経て、地方財務局や国税局で要職を歴任しました。1950年には主税局税制課長補佐、1951年には主税局調査課長に就任し、税制改正にも深く関わるようになりました。1952年には療養を余儀なくされますが、1954年に復帰し、大臣官房財務参事官室、国税庁直税部所得税課長などを務めました。

大蔵省幹部として

1958年7月には国税庁長官官房総務課長、1960年7月には理財局総務課長と、大蔵省内で重要なポストを歴任しました。1962年には外務省に出向し、ニューヨーク総領事館領事兼在米国大使館参事官として海外勤務を経験します。帰国後は大臣官房財務調査官を務めた後、1966年8月には財務参事官に就任。1967年1月には大臣官房長兼財務研修所長となり、大蔵省の中枢を担いました。

国税庁長官への就任と退官

1968年6月には国税庁長官に就任し、日本の税務行政を統括する責任者となりました。その後、1969年8月に大蔵省を退官しました。長年の官僚生活に終止符を打ち、その後は実業界へと転身します。

実業界での活躍

退官後の1970年1月には協栄生命保険副社長に就任。1971年8月には同社代表取締役社長、1986年7月には同代表取締役会長、1992年7月には同相談役と、協栄生命保険の経営に長年携わりました。

その生涯

龜徳正之は、大蔵官僚として、戦前、戦中、戦後の激動期を駆け抜け、日本の経済復興と発展に貢献した人物です。その生涯は、日本の近代史における重要な一断面を映し出しています。

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