1番ゲージ

1番ゲージ：鉄道模型の世界を彩る巨大な魅力

1番ゲージは、鉄道模型の縮尺と軌間を表す規格の1つです。No.1ゲージ、Iゲージとも呼ばれ、その圧倒的なスケールと精緻なディテールで、多くの愛好家を魅了し続けています。本稿では、1番ゲージの歴史、規格、製造メーカー、そしてその魅力を詳しく解説します。

スケールと軌間：実物のような迫力

1番ゲージは、主に縮尺1/32または1/30.5、軌間45mmを特徴とします。縮尺1/32はアメリカやヨーロッパで、1/30.5はイギリスで一般的でした。ただし、国によって縮尺に違いがあり、イギリスでは1/32も使用されています。軌間は、アメリカのNMRA規格では1.766インチと定められています。また、縮尺1/29の製品も、軌間が45mmであることから1番ゲージに含めて扱われることがあります。この大スケールゆえに、蒸気機関車の模型では、実物同様に蒸気で動くライブスチームが人気を集めています。

歴史：黎明期からの進化と復活

1番ゲージは、鉄道模型がスケールモデルとして確立された20世紀初頭に誕生しました。1901年、イギリスのバセット・ロークが最初の製品を発売し、それ以降、鉄道模型は一定の規格に沿って製作されるようになりました。Bockholt、メルクリン、KISSなど、現在も多くのメーカーが1番ゲージ製品を製造・販売しています。

黎明期には動力の小型化が難しかったため、1番ゲージが主流でしたが、後にOゲージ、OOゲージなどの小型ゲージが登場すると、その存在感は相対的に低下しました。しかし、その圧倒的なスケール感と精緻なディテールから、熱心な愛好家によって細々と製作が続けられてきました。1975年のアスターホビーの参入や、メルクリンの再参入（1978年）を契機に、1番ゲージは徐々に復活の兆しを見せています。近年では、同じ45mm軌間を使用するGゲージの人気が高まっていることも、1番ゲージへの注目を高めています。

規格：多様な規格と変遷

1番ゲージの軌間は、歴史を通して様々な規格が存在しました。例えば、1909年のModel Railways and Locomotive magazine誌には、1 3/4インチ（44.75mm）が標準として掲載されています。アメリカでは、1920年代には1.7インチ（44.45mm）が標準でした。初期の規格では、レール中心間の距離が1 7/8インチ（48mm）、レール幅が1/8インチ以下という規定もありました。車輪のタイヤ間の長さ（バックゲージ）や車輪の幅についても、様々な規格が存在しました。年代物の車両は、近代的なGゲージの線路を使用できる場合もありますが、初期の製品はスケールモデルではないため、実物との縮尺にばらつきがあります。日本の35mmゲージは、縮尺1/30の狭軌版として位置づけられます。

動力：電気と蒸気の競演

1番ゲージの模型の動力源は、電気モーターと蒸気（ライブスチーム）の2種類があります。ライブスチームは、実物と同様の蒸気機関車模型を動かすことができ、独特の雰囲気と魅力を放ちます。

主要メーカーと関連製品

1番ゲージの模型を製造・販売するメーカーは、世界中に存在します。ドイツのBockholt、メルクリン、KISS、日本のアスターホビーなどが有名です。アスターホビーは、45mm軌間のライブスチームや国鉄EF58形電気機関車の模型を製造しています。小西製作所も、45mm軌間の蒸気機関車の展示模型を製造しています。デアゴスティーニ・ジャパンからは、週刊シリーズとしてC62型やD51型の蒸気機関車模型が販売されました。

1番ゲージの魅力：スケール感と精緻さ

1番ゲージの魅力は、何と言ってもそのスケール感と精緻なディテールにあります。大きな模型は、圧倒的な存在感を放ち、細部までこだわって再現されたディテールは、見る者の心を捉えて離しません。ライブスチームの力強い走りや、精巧な機構は、他のゲージでは味わえない魅力です。世界最大規模の1番ゲージジオラマを有する原鉄道模型博物館も、その魅力を体感できる場所です。また、きかんしゃトーマスの模型にも1番ゲージが使用されていることは有名です。

終わりに

1番ゲージは、その歴史と技術、そしてスケール感と精緻さで、鉄道模型愛好家から絶大な支持を得ています。本稿が、1番ゲージの魅力を少しでも伝えることができれば幸いです。これからも、1番ゲージは、多くの人の心を掴んでいくことでしょう。

もう一度検索