100円バス

100円バスとは

100円バスとは、路線バスの運賃が100円均一であるもの、またはその路線を指します。一般的に、全区間100円の場合を指しますが、区間や距離を限定して100円とするケースも存在します。この記事では、両方のケースについて解説します。ただし、一般路線バスの最低運賃が100円以下だった時代は、100円バスとは呼ばれていません。

概要

100円バスは、既存のバスに比べて低廉で分かりやすい運賃を設定することで、バスの利用促進を目的としています。市街地や観光地での回遊性向上、住宅地の生活の足としての利便性向上など、導入の目的は様々です。特に、住宅地の生活路線としての役割を担うコミュニティバスでは、100円運賃の例が多く見られます。武蔵野市の「ムーバス」は、コミュニティバスブームの先駆けとなった100円バスの代表例です。また、一般路線バスの初乗り運賃を100円とするケースもありますが、これは「100円バス」とは区別されることが多いです。

歴史

100円バスの歴史は、1995年に運行を開始した武蔵野市の「ムーバス」に遡ります。しかし、コミュニティバスを除くと、日本初の100円バスは、1998年9月1日に運行開始した弘南バスの「土手町循環100円バス」です。当初は試行運行でしたが、収支が良好だったため、1999年4月からは本格運行に移行しました。また、同時期には、前橋市で前橋駅からの1km区間限定で運賃を100円とする試みも行われました。

1998年7月には、遠州鉄道が全路線で初乗り運賃を100円に値下げし、バスと鉄道の両方で利用者増加に成功しました。豊橋鉄道では、補助金なしの完全民間ベースで初乗り100円を導入し、浜松バスも同様に全線で初乗り100円を実施するなど、100円運賃は地域に定着していきました。

仙台市では、中心部の利便性向上と渋滞緩和を目指し、仙台市交通局と宮城交通が共同で「100円パッ区」をスタートさせました。この制度は、中心部を走る路線バスの運賃を100円均一とするもので、官民連携の成功事例として知られています。福岡市では、西日本鉄道が都心部で「100円循環バス」と「福岡都心100円エリア」を試験導入し、大幅な乗客増を記録したことから、本格実施に移行しました。

京都市では、MKタクシーが都心部での100円バス運行を計画しましたが、実現には至りませんでした。その後、京都市営バスが土日限定で100円バスの運行を開始し、試験的に平日や増発も行われました。

現状

近年では、バス事業の変化、消費税増税、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、100円運賃を廃止し値上げするケースも増えています。西日本鉄道では、「駅から100円・駅まで100円バス」の対象駅を縮小し、その後、2021年7月1日には100円運賃を150円に値上げし、100円運賃は全廃されました。コミュニティバスでも、均一運賃を100円から110円以上に値上げする例が見られます。

実例

100円バスの路線は日本全国に多数存在するため、ここでは個別の路線は紹介しません。詳細は、各バス事業者や営業所の記事、日本のコミュニティバス一覧のページを参照してください。ただし、コミュニティバス以外にも、一部区間または全区間で100円程度の運賃となっている路線も存在します。

備考

国際興業バス飯能営業所では、2014年に「ワンコインバスの実証実験」を実施し、大人100円、小児10円という低運賃でバスの利用を促進しました。この実験は、ICカードでも利用可能で、深夜バスも対象となっていました。飯能市は、この制度を2017年まで延長しましたが、2021年3月31日に終了しました。

脚注

日本バス協会　低廉な運賃の実施状況（平成13年1月現在） - 2002年4月6日時点のアーカイブ

関連項目

コミュニティバス
100円ショップ
100円橋
100円朝食

外部リンク

日本バス協会

もう一度検索