14型フリゲート

14型フリゲート：冷戦初期の対潜戦力

14型フリゲートは、イギリス海軍が1950年代に建造したフリゲート艦級であり、「ブラックウッド」をネームシップとすることから、ブラックウッド級とも呼ばれます。この艦級は、並行して計画されていた12型（ホイットビィ級）フリゲートを補完する、より小型で廉価な対潜艦として開発されました。1951年から1952年にかけて12隻が建造され、さらにインド海軍向けにも3隻が発注されました。

開発の背景

第二次世界大戦中、イギリス海軍はドイツのUボートによる脅威に晒されました。大戦末期にはUボートの脅威は減少したものの、ドイツが開発していた水中高速潜水艦であるUボートXXI型は、潜航状態で高速を発揮することが可能で、従来の護衛艦では対応が困難でした。このため、1943年中盤より新型フリゲートの検討が開始され、これが後に12型フリゲートとして結実します。

一方、冷戦の激化に伴い、ソ連海軍もUボートXXI型を模倣した水中高速潜水艦の配備を進めていました。これにより、新型対潜艦の必要性が高まりましたが、当時のイギリス海軍は、有事には膨大な数のフリゲートが必要になると見積もっており、高性能な12型フリゲートだけでは数を揃えられないという問題がありました。

そこで、1947年には戦時急造型駆逐艦をベースとした15型・16型フリゲートの計画が始まり、さらに1949年には、小型で廉価な2等艦として本級である14型フリゲートの計画がスタートしました。この計画は、1949年10月に概略設計が承認され、1951年5月に建造計画が海軍本部委員会に提出されました。

設計

14型フリゲートは、船首楼型の船型を採用し、凌波性向上のために艦首にブルワークが設けられました。前部船体は細身に設計され、これにより耐航性が高く評価されました。艦橋構造物は、当初は15型と同様の低い閉鎖式になる予定でしたが、実際には船首楼上の全幅に及ぶ甲板室と、その上に小さな艦橋が設置されました。戦闘指揮所は艦橋直下に設けられました。

主機関は、12型フリゲートと同じY.100型ギアード・タービン機関を片軸分搭載し、1軸推進とされました。推進器も12型と同様の大径・低回転数プロペラが採用されました。ボイラーはバブコック・アンド・ウィルコックス社製水管ボイラーで、2缶搭載されました。後に「エクスマス」は、試験的にガスタービンエンジンに換装され、イギリス海軍初の全ガスタービン推進戦闘艦となりました。

装備

対潜兵器は12型フリゲートに準じた構成が予定され、リンボーMk.10対潜迫撃砲2基と、長射程のMk.20「ビダー」対潜誘導魚雷用の魚雷発射管2基を搭載予定でした。しかし、ビダーの開発が中止されたため、魚雷発射管の搭載は一部の艦に限られ、後に撤去されました。ソナーは、中距離捜索用として174型、海底捜索用として162型、攻撃用として162型が搭載されました。

砲熕兵器は、40mm単装機銃Mk.9が3基と非常に簡素なものでした。これは、当時、イギリス海軍が中口径艦砲を1等艦にのみ搭載すると見なしていたためです。装備の簡素化によって、乗員は対潜戦の訓練に集中することができ、対潜戦演習では大型フリゲートよりも良い成績を収めることができました。

しかし、艦型が小さいため、新装備の追加搭載が難しく、拡張性に乏しいという問題点もありました。

運用

朝鮮戦争後、第三次世界大戦の危機が迫っていると判断されたことから、本級は「第三次世界大戦型コルベット」と呼ばれ、建造が急がれました。しかし、実際には第三次世界大戦は起こらず、1954年・1955年度計画の建造分は削除されました。1950年代後半には、海軍戦略が転換し、対潜戦に特化した本級は不適とみなされました。しかし、その優れた耐航性と小型で小回りが利くという特徴から、タラ戦争では重宝されることとなりました。

イギリス海軍では、1970年から21型フリゲートによって更新され、1985年までに運用を終了しました。インド海軍でも、1978年までに沿岸警備隊に移管されて退役しました。なお、インド海軍が運用していた「ククリ」は、第三次印パ戦争でパキスタン海軍の潜水艦によって撃沈され、第二次世界大戦後初の戦没艦となりました。

14型フリゲートは、冷戦初期の対潜戦力として、その後のイギリス海軍の発展に重要な役割を果たしました。

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