17歳のカルテ

17歳のカルテ (Girl, Interrupted)

『17歳のカルテ』（原題: Girl, Interrupted）は、1999年に公開されたアメリカの伝記青春映画です。スザンナ・ケイセンによる同名の自伝小説を原作とし、精神科病棟での少女たちの姿を赤裸々に描いています。2000年に日本で公開されました。

概要

境界性パーソナリティ障害の診断を受けた作者自身の体験を基にした原作に感銘を受けたウィノナ・ライダーが映画化権を取得し、制作総指揮を務めました。閉鎖された精神病棟という特殊な環境下で、少女たちがそれぞれの心の闇と向き合い、成長していく姿を描いています。

同じ精神医療をテーマにした作品として「カッコーの巣の上で」と比較されることもありますが、本作はノンフィクションを原作としている点が大きく異なります。また、ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリーをはじめ、ブリタニー・マーフィやクレア・デュヴァルなど、若手実力派女優たちの競演も見どころです。

ストーリー

1967年、ニューイングランド。スザンナ・ケイセン（ウィノナ・ライダー）は、薬物の大量摂取による自殺未遂の後、精神科病院に入院します。自身のパーソナリティ障害に自覚がなく、病院の環境に馴染めないスザンナでしたが、病棟のボス的存在であるリサ（アンジェリーナ・ジョリー）の、精神疾患であることを誇示するような態度に惹かれていきます。そして、精神科病院が自分の居場所であるかのように感じ始めるのです。

しかし、退院した患者の近親相姦を指摘し、その患者を自殺に追い込むというリサの行動を目の当たりにし、スザンナは徐々にリサの言動に疑問を抱くようになります。そのことがきっかけでリサに疎まれ、他の患者たちもリサに同調し、スザンナは孤立してしまいます。

やがて、リサや他の患者たちとの間で全面的な対立が起こります。その出来事を通して、スザンナは「リサはここでしか生きられないからこそ、強気な行動に出ているのだ」と気づき、自分は社会復帰を目指すべきだと決意し、退院していきます。映画は、スザンナが退院するところで幕を閉じます。

キャスト

スザンナ・ケイセン: ウィノナ・ライダー
リサ・ロウ: アンジェリーナ・ジョリー

音楽

劇中では、当時のヒット曲が多数使用されています。

ペトゥラ・クラーク 「恋のダウンタウン」
ゼム 「イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー」
ママス&パパス 「ゴット・ア・フィーリン」
メリリー・ラッシュ&ザ・ターナバウツ 「朝の天使」
ジェファーソン・エアプレイン 「帰っておくれ」
ザ・バンド 「ザ・ウェイト」
スキータ・デイヴィス 「この世の果てまで」

受賞

アンジェリーナ・ジョリーが、リサ役で以下の賞を受賞しました。

アカデミー助演女優賞
ゴールデングローブ賞 助演女優賞
全米映画批評家協会賞 新人賞

備考

日本語タイトルに「17歳」という言葉が含まれていますが、これは2000年当時に多発した少年犯罪と、マスコミが流行させた「キレる17歳」という言葉の影響によるものです。原作にも映画にも17歳という設定は直接的には関係ありません。ただし、原作者のスザンナ・ケイセンは17歳の時に自殺未遂を起こし、精神科に入院しています。

原作および映画のタイトル『Girl, Interrupted』は、フェルメールの絵画『中断された音楽の稽古』に由来しています。

ウィノナ・ライダーが映画化権を取得し制作総指揮も務めた作品ですが、公開当時はアンジェリーナ・ジョリーのエキセントリックな演技が注目を集め、ウィノナ・ライダー自身はあまり注目されませんでした。

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