1848年アメリカ合衆国大統領選挙

1848年アメリカ合衆国大統領選挙の概要

1848年11月7日に実施されたアメリカ合衆国大統領選挙は、歴史的な意義を持つ第16回目の選挙です。この選挙は、どの候補にもチャンスが与えられた民主主義の原則を体現したものでした。現職の大統領であるジェームズ・ポークは、任期中にほぼすべての政治目標を達成したことから、再選に向けて立候補しないことを決断しました。ポークはその後、健康を害したため、退任後はわずか4ヶ月しか生きられない状態でした。

背景

1846年から1847年にかけて、ホイッグ党はポークの戦争政策に強く反対しましたが、1848年2月にポークが結んだグアダルーペ・イダルゴ条約は、あまりにも意外な結果をもたらしました。この条約によって、カリフォルニアやアリゾナ、ニューメキシコの広大な新領土がアメリカ合衆国に加わりました。上院において、ホイッグ党はこの条約を2対1の比率で承認しました。次第に、ホイッグ党は新たな候補者、ザカリー・テイラーを選出し、テイラーは「今後戦争は行わない」と公言しました。民主党は、国の繁栄や新たな領土獲得を強調して支持を集めました。

候補者の指名

ホイッグ党の候補者、ザカリー・テイラーはルイジアナ州出身の将軍で、戦争での功績によって広く知られていました。彼は選挙未経験者でしたが、支持を受けて1848年の党大会で171票を獲得し、候補に指名されました。一方、民主党はルイス・カスを選出しました。カスはミシガン州の知事および上院議員を務め、奴隷制賛成の見解を持っていました。このため、党内では反奴隷制派が分裂し、自由土地党を結成する流れが生まれました。

自由土地党の登場

自由土地党は、1848年の選挙において西部領土における奴隷制の拡大に対抗するために設立されました。この党の指導者にはサーモン・チェイスやジョン・ヘイルらが名を連ねますが、元大統領であるマーティン・ヴァン・ビューレンが大統領候補に指名されました。

選挙運動と結果

選挙運動では、テイラーは具体的な政策を明言しないスタンスを取りましたが、彼の個性と民主党の個人攻撃によって支持を集めました。接戦の末、テイラーは最終的に163票の選挙人票を獲得し、勝利を収めました。ただし、一般投票では彼の得票率は47%強にとどまりました。これにより、テイラーは史上2人目のホイッグ党出身の大統領となりました。

選挙後の影響

新大統領のテイラーは、就任から1年4ヶ月後に急死し、その後任として副大統領だったミラード・フィルモアが大統領に昇格しました。この選挙は、アメリカの政治史において、さまざまな背景を持った候補者同士の競争を象徴する出来事として位置づけられています。選挙の動きや結果は、後のアメリカ社会に大きな影響を与えることとなりました。

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