1895年のメジャーリーグベースボール

1895年のメジャーリーグベースボール：記録と変革の年

1895年、メジャーリーグベースボール（MLB）は、数々の記録と新たなスターの誕生、そして規則の改正によって彩られた一年でした。ナショナルリーグでは、ボルチモア・オリオールズが前年に続き2度目の優勝を飾りました。

傑出した打者たち

この年、クリーブランド・スパイダーズのジェシー・バーケットが打率.405で首位打者に輝きました。彼はその後も高い打率を維持し、1896年にも打率4割を達成。資料によっては、1899年にも4割を記録したとされ、通算3度の4割打者として名を残しています。また、彼はバントの名手としても知られていました(1946年殿堂入り)。

フィラデルフィア・フィリーズのサム・トンプソンは、本塁打18本、打点165でリーグトップの成績を収めました。当時、本塁打王や打点王の公式なタイトルは存在しませんでしたが、彼の傑出した打撃は注目を集めました。前年の1894年には、チームメイトのエド・デラハンティと共に打率.407を記録し、打点もリーグ2位となるなど、その才能を開花させていました。

エイモス・ルーシーの活躍

ニューヨーク・ジャイアンツのエイモス・ルーシーは、1891年から1894年にかけて4年連続で30勝以上を挙げるなど、リーグを代表する投手として活躍しました。1895年までの間に、リーグ最多奪三振を5度獲得する一方で、最多与四球も5度記録。1894年には、最多勝利（36勝）、最多奪三振（195）、防御率2.78で投手三冠を達成しています。1891年には、ブルックリン・グリームズ（後のドジャース）を相手にノーヒットノーランを達成するなど、記憶に残る投球を披露しました(1977年殿堂入り)。

テンプルカップの波乱

前年から始まったテンプルカップでは、ペナントレース優勝のボルチモア・オリオールズが、2位のクリーブランド・スパイダーズに敗れるという波乱が起きました。この結果は、当時の野球界に大きな衝撃を与えました。

クリーブランド・スパイダーズは、1887年に「クリーブランド・ブルース」として結成され、アメリカン・アソシエーションに加盟。1889年にナショナルリーグに移籍し、「クリーブランド・スパイダーズ」に改称しました。1890年には、サイ・ヤングが入団し、デビュー直後からその実力を発揮。1892年には後期優勝を果たしましたが、年間優勝は逃しました。その後、チームは低迷し、オーナーらは1898年にセントルイス・ブラウンズ（後のカージナルス）のフランチャイズ権を取得。主力選手をセントルイス・パーフェクトズへ移籍させました。戦力低下したスパイダーズは、1899年にMLB歴代2位の24連敗を喫し、20勝134敗という記録的な成績でナショナルリーグを脱退、解散しました。

一方、クリーブランドでは、1900年にアメリカンリーグの前身であるウエスタン・リーグに加盟していたチームが移転し、クリーブランド・レークショアズとしてアメリカンリーグに参入。1901年にはクリーブランド・ブルーバーズと改称し、これが現在のクリーブランド・ガーディアンズの起源となりました。

その他の記録と規則の改正

1895年には、4月16日にトム・ダウド、8月16日にエド・カートライトがサイクルヒットを達成しています。また、この年には投手板のサイズが拡大され、バットの長さと太さに関する規定が設けられました。これらの変更は、選手のパフォーマンスやゲームの展開に影響を与えました。

1895年は、MLBの歴史において、記録、スター選手、チームの変遷、そして規則の改正が交錯した重要な一年でした。

参考資料

『アメリカ・プロ野球史』鈴木武樹 著、三一書房、1971年
『米大リーグ 輝ける1世紀～その歴史とスター選手～』週刊ベースボール、ベースボールマガジン社、1978年
* 『メジャーリーグ ワールドシリーズ伝説』上田龍 著、ベースボールマガジン社、2001年

もう一度検索