1898年のメジャーリーグベースボール

1898年のメジャーリーグベースボール

1898年、メジャーリーグベースボール（MLB）では、ボストン・ビーンイーターズ（後のブレーブス）が2年連続8度目の優勝を果たし、19世紀最後の輝きを放ちました。これは1891～1893年、1897年に続く連覇であり、当時のビーンイーターズの強さを物語っています。

ボストン・ビーンイーターズの黄金時代

1877年に初優勝を飾ったビーンイーターズは、19世紀の23シーズンで8回のリーグ優勝を達成。しかし、20世紀に入ってからは苦戦が続き、1914年に16年ぶりの優勝、そして次のリーグ優勝は1948年まで待つことになります。19世紀の栄光は、20世紀には長く途絶えてしまいました。

キッド・ニコルズの圧倒的な投球

ビーンイーターズのエース、キッド・ニコルズは、この年も31勝を挙げ、チームの優勝に大きく貢献しました。1890年に20歳でデビューして27勝を挙げ、翌年から1898年まで、1年を除いて毎年30勝以上をマーク。1896年からこの年まで3年連続最多勝投手となり、1890年代のビーンイーターズの黄金時代を支えました。デビューから12年で300勝に到達し、1906年に引退するまでに通算361勝を記録。これは19世紀の投手としては、パッド・ガルヴィンの365勝に次ぐ2位の記録です。ニコルズの圧倒的な投球は、19世紀の野球史に燦然と輝いています。

ウィリー・キーラーの卓越した打撃

ウィリー・キーラーは、この年も打率.385、216安打をマークし、首位打者とリーグ最多安打を2年連続で獲得しました。しかし、オリオールズのオーナーであったハリー・ヴァン・ダー・ホーストが、ブルックリン・スーパーバス（後のドジャース）の経営権を取得し、二球団同時経営に乗り出したことが、キーラーのキャリアに影響を与えます。ネッド・ハンロンがブルックリン・スーパーバスの監督に指名され、ジョン・マグローがボルチモア・オリオールズの監督に就任。キーラーは、ハンロン監督と共に翌年ブルックリン・スーパーバスへ移籍することになりました。

ナップ・ラジョイの才能が開花

ナップ・ラジョイは、1896年にフィラデルフィア・フィリーズに一塁手として入団。3年目の1898年からは二塁手となり、その才能を開花させます。この年には最多打点143、最多二塁打43本を記録し（当時は打点王のタイトルは存在しませんでした）、コニー・マックに注目されることになります。3年後にはアスレチックスに強引に移籍し、1901年には4割打者で三冠王にも輝きました（当時は本塁打王のタイトルも無く、三冠が注目される時代ではありませんでした）。しかし、アスレチックスへの強引な移籍がフィリーズを激怒させ、裁判沙汰に発展。クリーブランドへの契約譲渡により、ラジョイはクリーブランド・ブロンコスに移籍し、球団は名称をラジョイに因んでナップスと改称しました。その後、デトロイト・タイガースのタイ・カッブとの首位打者争いを繰り広げることになります。ナポレオン・ラジョイとも呼ばれ、史上最高の二塁手の一人として知られています。タイ・カッブとは対照的に、人望の厚い選手でした。

1898年のMLBは、ボストン・ビーンイーターズの圧倒的な強さ、キッド・ニコルズやウィリー・キーラーといったスター選手の活躍、そしてナップ・ラジョイの台頭など、多くの話題に彩られたシーズンでした。

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