19か条提案

19か条提案とは

19か条提案は、1642年6月1日、清教徒革命（イングランド内戦）の直前に、イングランド議会がチャールズ1世に提出した和平提案です。議会は、この提案を通じて国王大権を大幅に制限し、議会の権限を強化しようとしました。しかし、チャールズ1世がこれを拒否したため、両者の対立は決定的なものとなり、内戦勃発へと繋がりました。

背景：議会と国王の対立

議会は、大諫奏や民兵条例を通じて、国王大権（外交権、官吏任命権、軍統帥権）を制限しようと試みました。しかし、チャールズ1世はこれらの試みをことごとく拒否し、議会と国王の対立は深刻化しました。両者は戦闘準備を進める一方、議会は和平交渉も模索し、北のヨークに滞在していたチャールズ1世に和平提案を送りました。

提案内容

19か条提案は、国王大権のうち議会の同意を必要とする権利を具体的に示したものです。その主な内容は以下の通りです。

政治顧問と高官の任免: 枢密院議員、大臣、政府高官、裁判官の任免には議会の同意が必要とされました。
王家の教育と結婚: 王家の教育と結婚にも議会の同意が必要とされました。
軍統帥権: 軍統帥権は議会が掌握することとされました。
教会改革: カトリック排除を含む教会改革も議会が権限を持つこととされました。

これらの内容は、議会主権を確立するための改革案であり、それまでの議会と国王の対立における、議会側の要求をまとめたものでした。

提案の拒否と内戦勃発

チャールズ1世は1642年6月21日、この提案を拒否しました。また、穏健派政治家であったエドワード・ハイドやフォークランド子爵ルーシャス・ケアリーも、提案が君主制、貴族制、民主制の権力均衡を混乱させるとして反対しました。結果として、和平交渉は決裂し、同年8月に第一次イングランド内戦が勃発しました。

まとめ

19か条提案は、イングランドにおける議会と国王の権力闘争の象徴的な出来事です。この提案は、議会が国王の権限を制限し、議会主権を確立しようとした試みでしたが、国王の拒否によって内戦へと発展しました。この内戦は、イギリスの歴史における重要な転換点となり、その後の政治体制に大きな影響を与えました。

参考文献

若原英明『イギリス革命史研究』未來社、1988年。
松村赳・富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。
* 塚田富治『近代イギリス政治家列伝 かれらは我らの同時代人』みすず書房、2001年。

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