19式装輪自走155mmりゅう弾砲

19式装輪自走155mmりゅう弾砲について

概要

19式装輪自走155mmりゅう弾砲は、陸上自衛隊の特科部隊向けに開発された装輪式自走榴弾砲です。これはFH70 155mmりゅう弾砲の後継として位置づけられており、迅速な射撃と陣地移動、機動性向上を目指しています。開発は2013年度から始まり、火力戦闘指揮統制システムや観測ヘリコプターとのネットワーク化が進められました。

この砲の特徴は、従来の牽引式から装輪式自走砲に変換したことにより、迅速な陣地変換が可能になった点です。99式自走155mmりゅう弾砲の技術を活用することで、開発コストを約99億円に抑えました。試作車両は2018年に評価試験が開始され、以降の富士総合火力演習で順次公開され、2023年に実働部隊への配備が始まっています。

設計と機能

車体

19式装輪自走155mmりゅう弾砲は、戦場の状況に応じて迅速に陣地を移動できるよう設計されています。最新の観測技術により、敵の砲撃を受けた際に速やかに射撃位置が特定され、反撃が行えるため、陣地移動の必要性が高まっています。従来の牽引式のFH70は自走能力に限界がありましたが、19式は大型トラックと一体化され、射撃準備や撤収にかかる時間を短縮しました。

量産型は、日本製鋼所が輸入したHXシリーズの軍用トラックを基に構成されています。この砲は、地面に接触することで反動を吸収する装置も備えており、これにより舗装地での射撃も可能です。また、運転席は乗員に快適さを配慮した三人掛けのベンチシートを採用し、効率的な運用が考えられています。

火砲

砲には99式自走155mmの技術が流用されており、反動制退器を搭載しています。射撃の際にも、車体を動かさずに目標に対して射撃できる機能があります。この砲弾は99式と共通の性能を持ち、様々な弾種に対応可能です。信管については詳細は公開されていませんが、他国の基準に沿ったものが使われていると考えられています。

装填装置と射撃方法

19式装輪自走155mmりゅう弾砲は、装填の自動化を部分的に採用しており、砲弾は自動で装填される一方、装薬は手動で行います。この設計により、機動性と装填効率の両立が図られています。

射撃は基本的に間接照準によるもので、専用の観測部隊や調整所が必要です。近年は、高精度なデータリンクや測位技術が導入されており、迅速な射撃が可能になっています。19式装輪自走155mmりゅう弾砲でも、デジタル入力による精確な照準が可能です。

配備状況

現在、19式装輪自走155mmりゅう弾砲は陸上自衛隊の各部隊に配備されています。特に富士教導団や西部方面隊などの訓練機関での使用が進められています。これにより、国内における砲兵戦術の新たな展開を期待される存在となっています。配備による運用の充実化が、今後の陸上自衛隊の戦力向上に寄与することが期待されています。

もう一度検索