1907年の相撲

1907年、相撲界は大きな転換期を迎えました。この年、東京相撲の常設館建設が決定し、長らく興行場所として利用されてきた本所回向院での興行が幕を閉じました。これは、相撲興行の歴史において重要な出来事であり、相撲が新たな時代へと進む象徴となりました。

また、この年には、横綱常陸山一行が欧米漫遊の旅に出発しました。一行は、アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領に謁見し、ホワイトハウスで土俵入りを披露するなど、日本の国技である相撲を海外に紹介する重要な役割を果たしました。

1907年の本場所は、東京相撲と大阪相撲がそれぞれ開催され、両者の合併興行も行われました。1月には、東京相撲が本所回向院で、大阪相撲が難波新川土橋西詰でそれぞれ10日間の晴天興行を行いました。5月には、東京相撲が東両国元町で10日間興行を行い、6月には大阪相撲が再び難波新川土橋西詰で10日間興行を行いました。8月には、東京と大阪の合併相撲が南地五階で10日間興行を行い、11月には京都と大阪の合併相撲が四条磧で5日間興行を行いました。

この年、多くの力士が誕生しました。1月1日には伊達ノ花静が、1月27日には常盤野藤兵衛が誕生しました。3月には、両國梶之助、出羽湊利吉、桂川質郎が生まれ、7月には九紋竜政五郎、9月には栃ノ峯甚一郎が誕生しました。これらの力士たちは、後の相撲界を担う存在として、それぞれの時代で活躍しました。

一方で、この年には大関鳳凰馬五郎が亡くなりました。鳳凰馬五郎は、宮城野部屋から錦戸部屋を経て再び宮城野部屋に所属し、年寄宮城野としても活躍しました。彼の死は、相撲界にとって大きな損失でした。

1907年は、相撲界にとって変革と発展の年でした。常設館の建設決定や海外への相撲紹介は、相撲の近代化を象徴する出来事であり、多くの力士の誕生とベテラン力士の死は、相撲界の新旧交代を印象づけるものでした。

これらの出来事は、酒井忠正著『日本相撲史 中巻』（ベースボール・マガジン社、1964年）にも詳しく記述されています。

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