1911年の相撲

1911年の相撲界

1911年（明治44年）の相撲界は、激動の年であった。年初から力士の待遇改善を求める動きが活発化し、協会との対立が表面化、一時は場所のボイコットにまで発展した。この事件は「新橋倶楽部事件」として知られている。

新橋倶楽部事件

1月場所を目前に控えた時期、力士たちは待遇改善を要求し、協会側と激しく対立した。この結果、力士側は場所のボイコットという強硬手段に出た。しかし、1月23日には両者間で和解が成立し、場所は1ヶ月遅れで開催されることとなった。だが、場所が始まっても波乱は続いた。2日目の勝負判定を巡り、西方力士が検査役の不信任を突きつけ、場所は2日間の中断を余儀なくされた。

本場所の開催

1911年には、東京相撲と大阪相撲でそれぞれ本場所が開催された。

2月場所（東京相撲）
場所：両国国技館
日程：2月4日から10日間
結果：東方力士が75対72で勝利。旗手は雲竜辰五郎。個人優勝は太刀山峰右エ門。

2月場所（大阪相撲）
場所：難波新川土橋西詰
日程：2月16日から晴天10日間

6月場所（東京相撲）
場所：両国国技館
日程：6月10日から10日間
結果：西方力士が勝利。旗手は玉椿健太郎。個人優勝は太刀山峰右衛門。

10月場所（大阪相撲）
場所：難波新川土橋西詰
日程：10月7日から晴天10日間

中央大学相撲部創部

この年、中央大学に相撲部が創部された。これにより、学生相撲の発展に新たな一歩が刻まれた。

生誕した力士たち

1911年には、後に活躍する多くの力士たちが誕生している。

1月7日：笠置山勝一（最高位：関脇）
1月7日：荒駒兵衛（最高位：十両7枚目）
2月24日：平戸灘常吉（最高位：十両6枚目）
3月30日：巴潟誠一（最高位：小結）
6月15日：照錦富治（最高位：十両4枚目）
7月1日：鏡川四郎（最高位：十両12枚目）
12月8日：十三錦市松（最高位：前頭7枚目）
12月8日：綾錦久五郎（最高位：前頭11枚目）
12月11日：錦龍山宗治（最高位：十両13枚目）

物故した力士たち

一方で、この年には、惜しまれつつもこの世を去った力士たちもいた。

5月7日：有村直吉（最高位：前頭3枚目）
* 8月30日：芳ノ山夛治郎（最高位：前頭4枚目）

まとめ

1911年は、相撲界にとって激動の年であった。力士の待遇改善を求める動きから始まった一連の騒動、本場所での東西対決、そして、多くの力士の誕生と死。この年は、相撲の歴史において重要なターニングポイントの一つと言えるだろう。

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