1943年度の将棋界

1943年度将棋界：戦時下の激動と棋士たちの活躍

1943年度（昭和18年度）の将棋界は、第二次世界大戦下の厳しい状況下で推移しました。本稿では、この時代の出来事を詳細に記述します。

名人戦挑戦者決定戦の激闘

まず、第4期名人戦の挑戦者決定戦に注目しましょう。当時、木村義雄名人は圧倒的な強さを誇っていました。予備手合では、挑戦を希望する棋士たちが木村名人に挑みました。しかし、結果は木村名人の圧勝でした。萩原淳八段、大野源一八段は惜しくも挑戦権獲得とはなりませんでした。木村名人の強さが、この時代の将棋界を象徴する出来事と言えるでしょう。

昭和番付編成将棋と関西朝日番付戦

1943年春には、全国規模の棋戦「昭和番付編成将棋」が開幕しました。この大会では、松下力六段が9勝1敗という素晴らしい成績で優勝を飾りました。僅差で木村義雄名人、中村熊治四段が続きます。一方、関西地方では「関西本部朝日番付戦」が開催されました。こちらは升田幸三六段が8勝2敗で優勝しました。もし、この大会で木村義雄名人に勝利していれば、升田六段は八段に昇段する予定でしたが、惜しくも敗れ、昇段は叶いませんでした。これらの棋戦は、戦時下においても、多くの棋士がしのぎを削り、将棋界を盛り上げたことを示しています。

棋界の重鎮、神田辰之助八段と小菅剣之助名誉名人の逝去

1943年9月6日、神田辰之助八段が50歳で他界されました。そして翌1944年3月6日には、小菅剣之助名誉名人が79歳で亡くなられました。両名ともに将棋界に多大な貢献を果たした方々です。これらの訃報は、将棋界に大きな悲しみをもたらしました。戦時下という困難な時代を背景に、これらの出来事は、将棋界全体に大きな影を落としました。

1943年度将棋界の総括

1943年度の将棋界は、木村義雄名人の圧倒的な強さ、全国規模と地域規模の棋戦の開催、そして、時代の悲しみを象徴する棋士たちの逝去という、様々な出来事が複雑に絡み合った一年でした。戦時下という困難な状況の中、棋士たちはそれぞれの立場で将棋界を支え、戦後へと繋いでいきました。これらの出来事を詳細に分析することで、戦時下の将棋界の状況と、その後の発展へと続く重要な時代背景を読み解くことができるでしょう。 これらの記録は、現代の私たちが過去の将棋界の歴史を理解し、未来へと繋いでいく上で、貴重な資料となっています。

参考文献

田辺忠幸『将棋 八大棋戦秘話』河出書房新社、2006年2月16日。ISBN 4-309-26870-6
加藤治郎、原田泰夫、田辺忠幸『［証言］将棋昭和史』毎日コミュニケーションズ、1999年9月。ISBN 4-8399-0255-0
* 日本将棋連盟『将棋年鑑 昭和43年版』1968年

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