1945年のメジャーリーグベースボール

1945年のメジャーリーグベースボールの概観

1945年は、第二次世界大戦が終了に近づく中、メジャーリーグベースボール（MLB）が息を吹き返した年でした。4月17日にシーズンが幕を開け、10月10日に全日程が終了。ナショナルリーグではシカゴ・カブスが7年ぶりのリーグ優勝を果たし、アメリカンリーグではデトロイト・タイガースが5年ぶりにリーグ優勝を勝ち取りました。

このシーズン、デトロイト・タイガースはシカゴ・カブスを相手にワールドシリーズで4勝3敗と接戦を繰り広げ、1935年以来のシリーズ制覇を達成しました。特にこのシリーズは第6戦に延長戦があり、両チームの緊張感が高まる中で進行しました。

戦時中の影響と観客動員

戦争が終わりを迎えると、観客たちは野球場に集まるようになりました。前年の874万人から一気に観客動員数が増加し、1945年には合計1,085万1,123人に達し、MLB史上初めての1,000万人を突破しました。多くの選手が戦争の影響で一時離れていたものの、5月にヨーロッパ戦線が終結したことで多くの選手が春季キャンプからシーズン途中に戻り、競技力も向上しました。

アメリカンリーグのデトロイト・タイガースでは、ハンク・グリーンバーグが復帰し、78試合で打率.311、13本のホームラン、60打点を記録。投手のハル・ニューハウザーは再び最多勝（25勝）、最多奪三振（212）、最優秀防御率（1.81）という三冠を達成しました。彼の貢献により、タイガースは最後の戦いでセネタースに1.5ゲーム差をつけ、リーグ優勝を獲得しました。

ナショナルリーグでは、シカゴ・カブスが前年度最多安打のフィル・キャバレッタの活躍を受けて打率.355で首位打者となり、投手陣も好調でワイスが22勝を記録しました。カブスにとって、この優勝は通算16回目であり、当時のメジャーリーグ最多記録でした。

ワールドシリーズの興奮

ワールドシリーズは、両チームの力が拮抗する中で展開されました。タイガースは第6戦でサヨナラ負けを喫し、シリーズは最終第7戦に突入。が、ニューハウザーの活躍によりタイガースが勝利し、シリーズ制覇に至りました。このシリーズは「史上最低のシリーズ」とも評されましたが、双方の努力が色濃く表れた名勝負であったことは間違いありません。

新たなコミッショナーの就任

1945年には新しいコミッショナーとしてアルバート・ベンジャミン・チャンドラーが選任されました。彼は、選手の待遇改善や黒人選手のメジャーリーグ参入に向けて積極的に行動し、特にジャッキー・ロビンソン選手の入団を推進しました。彼の直ちに下した厳しい裁定や、選手の権利に対する理解は、その後のMLBの変革へと繋がる重要なものでした。

新オーナーとラリー・マクフェイルの影響

1945年の秋、ニューヨーク・ヤンキースがラリー・マクフェイルらに身売りされるという出来事がありました。マクフェイルは、キャンプや球場の整備、さらにはファン向けのイベントを通じてヤンキースのブランド力を高め、その後の成長へと寄与しました。彼の経営スタイルは、ヤンキースをただのスポーツチームから国民的な娯楽産業へと押し上げる影響を持ちました。

1945年はメジャーリーグにとって重要な試練と成長の年だったと言えるでしょう。観客動員数の記録更新や、選手の帰還、さらには新しいリーダーシップのもとで進化を遂げるなど、未来への道筋が示された年でもありました。

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