1946年の日本公開映画

1946年 日本公開映画

1946年（昭和21年）は、第二次世界大戦の終結から間もない、日本の社会が新たな道を模索し始めた時期にあたります。このような状況下でも、映画は人々の重要な娯楽であり続け、多くの作品が劇場で公開されました。この年に日本国内で商業公開された映画には、国内で製作された作品と、アメリカやフランスといった外国で製作された作品が含まれています。

この年の公開作品を振り返ると、その多様性が特徴として挙げられます。公開は1月から12月まで、ほぼ毎月のように新たな作品が封切られています。例えば、1月には日本映画の「グランドショウ1946年」や「檜舞台」が公開されたほか、外国映画として「鉄腕ターザン」（アメリカ）が登場しています。

特に注目すべきは、その年の優れた映画を選出する「キネマ旬報ベスト・テン」にランクインした作品群です。日本映画では、溝口健二監督の「大曾根家の朝」が第1位に輝いたのをはじめ、「わが青春に悔なし」が第2位、「或る夜の殿様」が第3位、「待ちぼうけの女」が第4位、「わが恋せし乙女」が第5位に選ばれるなど、戦後の日本映画界を代表する力作が生まれました。

外国映画に目を向けると、こちらも名作が多数公開されています。キネマ旬報ベスト外国映画の第1位には、ビング・クロスビー主演の「我が道を往く」（アメリカ）が選ばれました。第2位にはサイレント時代からの名匠D.W.グリフィス監督の「運命の饗宴」（アメリカ）が、第3位にはサスペンスの名手アルフレッド・ヒッチコック監督の「疑惑の影」（アメリカ）がランクインしています。また、「エイブ・リンカーン」（アメリカ）が第4位、「南部の人」（アメリカ）が第5位となっています。

これらのベスト・テン作品以外にも、多くの作品が公開されました。2月には「キュリー夫人」（アメリカ）や、フランス映画の「ヨシワラ」といった多様な国の作品が見られます。4月にはアメリカ映画「風雲のベンガル」や「迷へる天使」などが、5月には「王国の鍵」や「拳銃の町」といった作品が公開されています。特に、ボギー＆バコール共演の不朽の名作「カサブランカ」（アメリカ）が公開されたのは6月です。

下半期もバラエティ豊かなラインナップが続きます。7月には「最後の抱擁」や「天使」（いずれもアメリカ）が、8月には「アリゾナ」、「追憶」、「肉体と幻想」といったアメリカ映画が登場しました。9月には日本映画「霧の夜ばなし」に加え、「生きてる死骸」（アメリカ）が公開されています。10月には「東宝ショウボート」や「滝の白糸」などの日本映画、そして前述の「我が道を往く」が封切られました。11月にはソ連の「スポーツパレード」、フランスの「うたかたの恋」といった作品が加わり、公開作品の幅広さを示しています。

年末の12月も公開が続き、「のんきな父さん」や「七つの顔」、「満月城の歌合戦」といった日本映画、そして「感激の町」、「緑のそよ風」、「南部の人」、「疑惑の影」、「我が心の歌」といったアメリカ映画が劇場に登場しました。

このように1946年は、戦後の混乱期にあって、日本映画が力作を生み出し、同時に多様な外国映画が多数紹介された年であり、日本の映画文化が再出発を切った活気あふれる一年であったと言えるでしょう。

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