1951年のラジオ (日本)

1951年の日本のラジオ

1951年は、日本のラジオ放送にとって歴史的な転換点となった年です。この年、終戦後初めて民間放送が誕生し、NHK一局体制だった放送界に新たな風が吹き込みました。また、現在も続く国民的番組『NHK紅白歌合戦』の第1回が放送されるなど、記憶に残る出来事が数多く起こっています。

民間放送の夜明け

日本の放送史における民間放送の始まりは、この1951年に遡ります。4月21日、「民放の日」の由来ともなる出来事として、全国の16社に対し、民間放送局設立のための予備免許が付与されました。そして、9月1日には中部日本放送（現：CBCラジオ）が午前6時30分に、新日本放送（現：MBSラジオ）が正午に、それぞれ日本初の民間放送局として歴史的な開局を迎えます。これに続き、11月11日には朝日放送（現：朝日放送ラジオ）、12月1日にはラジオ九州（現：RKB毎日放送）、12月24日には京都放送、12月25日にはラジオ東京（現：TBSラジオ）と、主要な都市で次々と民放ラジオ局が誕生しました。

民放初期の画期的な試み

開局間もない民放各局は、意欲的な取り組みを次々と行いました。新日本放送は、開局に先立つ7月8日には民間放送として初めての試験電波を発射し、8月15日の正午にはサービス放送を開始。このサービス放送内で、民放初のニュース番組となる『毎日新聞ニュース』の放送を開始しました。さらに、開局翌日の9月2日からは、松下電器（現：パナソニック）の一社提供による『歌のない歌謡曲』の放送を開始。この番組は中部日本放送、ラジオ九州、京都放送、ラジオ東京など、後に開局した各局でも放送が始まり、最終的には全国各地のラジオ局で放送されることになりました。パナソニック提供による放送は2023年9月29日まで72年間も続き、全国37局で制作・放送されるという、ラジオ史上に残る長寿番組となりました（2024年9月現在も一部地方局で継続中）。

また、新日本放送は文化番組においても革新的な取り組みを行いました。10月22日には、来日したヴァイオリン奏者のユーディ・メニューインを招き、日本ビクターのスタジオから高音質の回線を使った特別番組『今宵一度の放送「メニューヒンの希望音楽会」』を独占生中継しました。これは民放にとって初の、本格的な外国人著名演奏家による生演奏放送として特筆されるべき出来事であり、当時の毎日放送の社史でも「民間放送史上でも特筆される音楽番組上での大ヒット」と高く評価されています。

NHKの動きと主な番組開始

この年、NHKも放送網の拡充を進めました。6月1日には福島、郡山、防府、佐賀で、7月1日には青森でラジオ第2放送を開始し、教育・文化番組の提供を拡大しました。そして、1月3日には、現在も年末の風物詩となっている『第1回NHK紅白歌合戦』が放送されました。

1951年には、民放、NHK双方で様々な新番組がスタートしています。NHKラジオ第1放送では、『さくらんぼ大将』（1月4日）、『明るい茶の間』（4月2日）、『夢声百夜』（5月7日）、『三つの歌』（11月2日）などが開始されました。NHKラジオ第2放送では、『皆さんの相談室』（5月6日）や『NHKオペラハウス』（5月7日）などが始まりました。

民放では、中部日本放送が開局初日に『ストップ・ザ・ミュージック』（9月1日）を開始。新日本放送では前述の『歌のない歌謡曲』や『バイバイゲーム』（9月5日）が始まりました。12月25日に開局したラジオ東京は、開局初日から『カムカム英語』、『スポーツ・タイム』、『チャッカリ夫人とウッカリ夫人』、『ラジオスケッチ』といった多彩な番組をスタートさせ、翌日には『虎造アワー「浪曲次郎長伝」』も放送を開始しました。朝日放送では開局後に宗教番組などが始まっています。

まとめ

1951年は、日本のラジオが多様化の道を歩み始めた記念碑的な年です。民放の誕生と活発な番組制作、そしてNHKによる歴史的番組の開始など、現在の日本の放送文化の礎がこの時期にしっかりと築かれました。ラジオがメディアとしての力をさらに高め、多くの人々の生活に浸透していく、まさにその夜明けとも言える一年でした。

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