1952年ベルギーグランプリ

1952年ベルギーグランプリ：フェラーリの圧倒的勝利と波乱の展開

1952年6月22日、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキット。この地で、1952年F1世界選手権第3戦、ベルギーグランプリが開催されました。しかし、この年のグランプリは、通常のF1レギュレーションではなく、フォーミュラ2レギュレーションが適用された点が特筆されます。

マセラティ不在とフェラーリの優位性

このレースを前に、マセラティの新型マシンA6GCMは準備が整わず、主力ドライバーであるファンジオは前戦での怪我により欠場。この状況は、フェラーリにとって絶好のチャンスとなりました。フェラーリは、アスカリ、ファリーナ、タルッフィという強力な布陣で臨み、さらにプライベートチームからも複数台のフェラーリが参戦。一方、ゴルディーニも複数のドライバーを送り込み、HWMはコリンズ、マックリンに加え、地元ベルギー人ドライバーを起用するなど、各チームが万全の体制でレースに臨みました。さらに、将来のワールドチャンピオン、マイク・ホーソーンがクーパー・ブリストルでデビューを飾るなど、注目すべき点も多くありました。

予選とスタート：フェラーリがフロントロー独占

予選ではフェラーリが圧倒的な強さを見せつけ、アスカリがポールポジションを獲得。ファリーナとタルッフィがこれに続き、フェラーリ勢がフロントローを独占しました。2列目にはゴルディーニのマンヅォンとベーラが並び、3列目にはホーソーン、ウォートン、そして地元ベルギー勢の最上位につけたフレールが位置しました。

雨の中スタートしたレースは、予想外の展開を迎えました。タルッフィはスタートで順位を大きく落とし、1周目終了時には9位に後退。一方、ベーラは好スタートを切り、なんと2台のフェラーリを抜き去り、一時的にトップに立ちました。しかし、モスは1周もせずにマシントラブルでリタイア。ベーラのリードは長く続かず、アスカリとファリーナにすぐに抜かれてしまいます。

予想外の展開とアクシデント

アスカリとファリーナはその後も安定した走りで1位と2位をキープ。13周目にタルッフィがベーラを抜き去り、ベーラは4位に順位を下げます。しかし、その次の周回、マルメディコーナーでタルッフィがスピン。これにベーラが追突し、両者ともリタイアというアクシデントが発生しました。このアクシデントにより、マンヅォンが3位に浮上。ホーソーンは燃料漏れの問題を抱えながらも4位でフィニッシュ。そしてフレールが5位に入り、貴重なポイントを獲得しました。

勝利とタイトル争い

アスカリはファステストラップも記録し、見事な勝利を収めました。しかし、タルッフィのリタイアにより、両者のポイントは9ポイントで並び、タイトル争いはますます激化。インディ500勝者のラットマンが3位に入り、ファリーナは2位でフィニッシュ。ランキング4位につけたものの、ポイントリーダーとは3ポイント差という接戦となりました。

まとめ

1952年ベルギーグランプリは、フェラーリの圧倒的な強さ、雨による波乱の展開、そしてドライバーたちの激しいバトルが印象的なレースでした。アスカリの勝利、そしてタイトル争いの激化は、次のレースへの期待感を高める結果となりました。このレースは、F2レギュレーションのもとで行われたにも関わらず、非常にエキサイティングで記憶に残る一戦となりました。マンヅォンの初表彰台も、このレースの大きな話題の一つとなりました。

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