1966年ドイツグランプリ

1966年ドイツグランプリ：ブラバムの快進撃と悲劇の影

1966年8月7日、西ドイツのニュルブルクリンクで、F1世界選手権第6戦、ドイツグランプリが開催されました。このレースは、ニュルブルクリンク北コースで行われた最後のF1グランプリとして歴史に刻まれています。

全長22.81kmのコースを15周する、総距離342.15kmの過酷なレースは、悪天候に見舞われました。ウェットコンディションの中、1959年と1960年のチャンピオン、ジャック・ブラバムがブラバム・BT19を駆り、見事な走りで優勝を飾りました。4連勝を達成したブラバムは、2位に入賞したジョン・サーティースに43秒もの差をつけ、圧倒的な強さを見せつけました。3位にはサーティースのチームメイトであるヨッヘン・リントが入賞しました。

しかし、このレースはブラバムの快進撃だけでなく、大きな悲劇も生みました。1周目、ジョン・テイラー選手はジャッキー・イクス選手と接触し、コースアウト。マシンは炎上し、テイラー選手は全身に大火傷を負いました。懸命な治療が続けられましたが、1ヶ月後、テイラー選手は帰らぬ人となりました。この事故は、F1界に衝撃を与え、サーキットの安全対策の見直しを促すきっかけとなりました。

このレースでは、F1マシンとF2マシンが混走するという、異例の開催となりました。F2勢はF1マシンには敵わず、トップ8位にはF2マシンは入れませんでしたが、混走による新たな危険性も浮き彫りになりました。中でも、テイラー選手の事故は、この混走システムの危険性を改めて認識させる結果となりました。

優勝したブラバムは、この勝利によりポイントを39点に伸ばし、2位のグラハム・ヒル（17点）に大きな差をつけました。チャンピオン獲得に向けて大きく前進したブラバムでしたが、テイラー選手の死は、彼の喜びを複雑なものにしたことでしょう。

予選では、ジム・クラークがポールポジションを獲得しましたが、決勝ではタイヤ選択ミスによりスピンを喫し、順位を落としました。フェラーリ勢は、新型246-66を投入しましたが、優勝争いには加わることができませんでした。

翌年から、ニュルブルクリンク北コースにホーエンラインシケインが追加されたため、このレースはオリジナルレイアウトでの最後のF1グランプリとなりました。数々のドラマと悲劇が生まれた1966年ドイツグランプリは、F1の歴史に深く刻まれた重要なレースとして記憶されています。ブラバムの圧巻の走り、そしてテイラー選手の悲劇。この対照的な出来事が、このレースを忘れがたいものにしました。このレースを機に、安全対策の強化や、F1とF2の混走方法の見直しなどが行われ、F1の安全性向上に繋がっていったのです。 また、このレースは、ニュルブルクリンク北コースのオリジナルレイアウトにおける最後のF1レースという歴史的な意味も持ちます。

このレースの詳細な結果や、各ドライバーの活躍については、当時のレースレポートやF1の歴史書を参照するとより深く理解できます。 事故を教訓に、F1はより安全なスポーツへと進化を遂げ、現代のF1へと繋がっているのです。

もう一度検索