1966年メキシコグランプリ

1966年メキシコグランプリ：サーティースの栄光とホンダの奮闘

1966年F1世界選手権最終戦、メキシコグランプリは、10月23日、シウダ・デポルティーバ・マグダレナ・ミクスカで開催されました。このレースは、F1の歴史において重要な転換点となる、3リッターエンジン規定導入後初のレースでもありました。5kmのコースを65周する、総距離325kmのレースは、数々のドラマを観客に提供しました。

サーティースの快挙：クーパー移籍後初優勝

優勝を掴んだのは、イギリス人ドライバーのジョン・サーティースでした。彼は、シーズン途中でフェラーリからクーパーに移籍後、初の勝利を手にしました。6周目にジャック・ブラバムからトップの座を奪うと、その後は独走状態を続け、見事優勝を飾りました。この勝利により、サーティースはドライバーズランキングでチームメイトのヨッヘン・リントを抑え、見事2位を確定させました。

ブラバムとハルムの健闘：表彰台を飾る

2位には、その年の世界チャンピオンであるオーストラリア人ドライバー、ジャック・ブラバム（ブラバム・レプコ）が、サーティースから8秒遅れで入りました。3位には、ブラバムのチームメイトであるニュージーランド人ドライバー、デニス・ハルム（ブラバム）が1周遅れで続きました。ブラバムはサーティースとほぼ同等のペースでレースを進め、最後まで優勝を争う接戦を展開しました。

ホンダ勢の活躍と苦戦：ギンサーのファステストラップとバックナムのトラブル

ホンダ勢は、リッチー・ギンサーとロニー・バックナムの2台が出場しました。ギンサーはスタートでトップに立ちましたが、徐々に順位を下げていきます。しかし、レース終盤には順位を上げて3位まで浮上する健闘を見せました。58周目にはファステストラップを記録し、ホンダにこの年唯一の入賞をもたらしました。一方、バックナムは電気配線のショートによるマシントラブルに見舞われ、ピットインを余儀なくされました。しかし、応急処置を施しコースに復帰すると猛追を見せ、8位まで順位を上げました。このレースが、ギンサーとバックナムのF1キャリアにおける最後のレースとなりました。

その他：フェラーリの欠場、クラークのリタイアなど

このレースでは、フェラーリがイタリア国内の労働争議の影響で2戦連続欠場、ジム・クラークはギアボックストラブルで早期にリタイアするなど、多くのアクシデントやトラブルが発生しました。また、BRM勢もレース前半でリタイアを喫しています。前年王者であるリッチー・ギンサーはスタートダッシュでトップに立ちましたが、前年のような圧倒的な強さを見せることができず、順位を落としていきました。

3リッター規定の幕開け：多様なエンジンとコンストラクターの競争

この1966年メキシコグランプリは、3リッターエンジン規定が導入された最初のレースでした。この新しいレギュレーションの下では、5種類のエンジンと5つのコンストラクターが勝利を収めるという、多様性に富んだ戦いが展開されました。これは、F1の歴史において大きな転換期であったことを示しています。

まとめ

1966年メキシコグランプリは、サーティースの優勝、ブラバムとハルムの好走、そしてホンダ勢の奮闘など、多くの見どころが詰まったレースでした。3リッター規定導入後最初のレースとして、F1の歴史に大きな足跡を残した、記憶に残る一戦となりました。このレースは、F1における技術革新とドライバーたちの激しい競争、そしてチームの戦略などが複雑に絡み合い、ドラマチックな展開をみせた象徴的なレースと言えるでしょう。

もう一度検索