1967年イギリスグランプリ

1967年イギリスグランプリは、1967年のF1世界選手権を彩る第6戦として、7月15日、イギリスのシルバーストン・サーキットにて開催されました。80周に及ぶレースは、手に汗握る展開となり、数々のドラマが観客を魅了しました。

レースを制したのは、ロータスチームのジム・クラーク選手でした。彼は見事なポール・トゥ・ウィンを達成し、優勝の栄冠を手にしました。2位にはブラバムのデニス・ハルム選手、そして3位にはフェラーリのクリス・エイモン選手が入賞しました。

このレースの注目点は、前戦フランスグランプリでトランスミッションの問題によりリタイアを喫したロータスチームが、その問題をわずか2週間で解決し、このイギリスグランプリに臨んだ点にあります。エースドライバーであるクラーク選手は、フランスグランプリ時点ではポイントランキングで大きく出遅れており、優勝へのプレッシャーも大きかったでしょう。

ロータスチームが投入したフォード・コスワース・DFVエンジン搭載のロータス49は、当時最速のマシンとして知られており、その性能に期待が集まっていました。一方、ホンダチームはベルギーグランプリでエンジン故障に見舞われたため、東京から新しいエンジンと点火プラグ（チャンピオン製に変更）を空輸して対応していました。しかし、この新しいエンジンには水漏れやオイル漏れといった問題が発生し、現地で急ピッチでの修理を余儀なくされました。

予選では、クラーク選手とグラハム・ヒル選手がロータス勢で1位と2位を獲得しました。これは、ブラバム勢を約1秒上回る圧倒的な速さでした。しかし、ヒル選手は予選終了間際にサスペンションにトラブルが発生し、マシンに大きな損傷を受けてしまいました。

決勝レースでは、クラーク選手がスタートからトップを快走しました。しかし、序盤はハルム選手とヒルの激しい攻防が展開され、順位が入れ替わる場面もありました。途中、ヒル選手がクラーク選手を一時的にリードする場面もありましたが、55周目にリアサスペンションのトラブルに見舞われ、ピットインせざるを得なくなりました。修理後コースに復帰したものの、その後エンジンが故障し、リタイアとなってしまいました。

一方、クラーク選手は、トラブルに見舞われたチームメイトを尻目に、着実に順位を上げ、2位以下を引き離して独走状態に入りました。最終的に、2位ハルム選手に13秒もの差をつけて優勝を果たしました。エイモン選手は、終盤でハルム選手を追い抜いて3位に浮上し、表彰台を獲得しました。

このレースでは、地元出身のドライバーであるデビッド・ホッブズ選手がF1デビューを果たしたことも注目すべき点です。また、F2で活躍していたアラン・リース選手も、クーパーチームから参戦しました。

レース後、クラーク選手の優勝により、ロータスチームは技術力の高さを見せつけ、世界にその名を轟かせました。このイギリスグランプリは、ドライバーの技術とチームの戦略、そしてマシンの性能が織りなす、手に汗握るレースとなりました。結果、クラーク選手はポイントランキングでも順位を上げ、チャンピオン争いに大きく前進しました。

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