1968年の東京オリオンズ

1968年の東京オリオンズシーズン回顧

1968年の東京オリオンズは、濃人渉監督による2年目のシーズンでした。この年は東京オリオンズとしての最後のシーズンでもあり、シーズン終了後にはロッテがスポンサーとなり球団名が「ロッテオリオンズ」に変更される予定でした。しかし、経営は依然として大映と毎日新聞社の合弁による「株式会社毎日大映球団」が担っており、ロッテは実質的な経営に関与せず資本提携と命名権による協賛金を提供する形でした。

チームの動向と方針

1964年以来、オリオンズは「守りの野球」を掲げていましたが、成績は低迷し、前年には最下位を危ぶまれる事態となりました。これを受けて永田雅一オーナーは「攻撃野球」の復活を決意し、アメリカからジョージ・アルトマンとアルト・ロペスを獲得しました。当初はヤンキースのスター選手ヘクター・ロペスを獲得する予定でしたが、春季キャンプ中に利き手が異なるという理由で別人であることが発覚しました。しかし、永田オーナーは「ダメだったら返せばいい」との浅い考えから、ロペスをそのまま入団させることに決定しました。

この外国人選手コンビは期待に応え、オリオンズのチームを活気づける役割を果たしました。一時は阪急ブレーブスと南海ホークスとの三つ巴の争いにまで食い込むものの、シーズン終盤には息切れし、結果的には3位に終わりました。1960年以来、8年ぶりとなるAクラス入りを果たしたことは意義深いものでした。

身売りの動きとオーナーの思い

しかし、シーズン中の5月にはオリオンズの身売りの話が浮上します。記者会見において永田オーナーは、自らが抱える経済的・精神的な苦労を吐露し、「チームが弱いからだ」と述べ、スポンサー探しを続けていることを明かしました。「12球団中、個人で球団を持っているのは私だけだが、限度がある」との言葉からも、彼の選手への想いが伝わります。選手たちに対しては「プレーに専念してほしい」との忠告を送りましたが、スポンサーとしてのロッテが見つかるのは1969年1月のことでした。

1968年のチーム成績

レギュラーシーズン中、オリオンズは努力の成果として一定の成果を収めましたが、結局は3位にとどまりました。しかし、終盤まで競争を繰り広げたことで、ファンにとって魅力的な試合が続けられたことは確かです。

特記すべき出来事

7月21日、近鉄バファローズとのダブルヘッダー第1試合では、榎本喜八選手が鈴木啓示投手から二塁打を打ち、1956年の川上哲治（巨人）、そして1967年の山内一弘（阪神）に続く「2000本安打」を達成しました。しかし、同日の第2試合では近鉄の安井智規選手との接触をきっかけに大乱闘が勃発し、榎本選手は近鉄の荒川選手からバットで殴打され、荒川選手は後に書類送検される事態となりました。

まとめ

1968年の東京オリオンズは、厳しい状況の中でも選手たちが活躍し、多くの注目を集めるシーズンでした。永田オーナーの個人的な苦悩とチームの未来への希望が交錯する中、東京オリオンズはこの年を経て新しい名前「ロッテオリオンズ」へと移行していくのです。

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