1971年の航空

1971年は航空史において、技術革新と悲劇が交錯した重要な年でした。以下に、その詳細を記述します。

航空機の記録と技術革新

1971年1月22日、アメリカ海軍のドナルド・H・リリエンタール操縦によるロッキードP-3オライオンが、ターボプロップ機として11,036.47kmの無着陸飛行記録を樹立しました。平均速度は806.1km/hに達し、当時の航空技術の高さを示しました。また、3月21日にはイギリスのヘリコプター、ウェストランドWG13リンクスが初飛行し、ヘリコプター技術の進歩にも貢献しました。7月20日には、三菱重工による日本初の超音速ジェット練習機XT-2（T-2の試作機）が初飛行し、日本の航空技術の進展を示す出来事となりました。さらに、8月4日にはイタリアのアグスタA.109ヘリコプターが初飛行し、多様な航空機の開発が進みました。

有人宇宙探査の進展

1971年は、宇宙探査においても重要な進展が見られました。1月31日から2月9日にかけて、アポロ14号が3回目の月面着陸に成功し、月面探査が進められました。4月19日にはソビエト連邦が初の有人宇宙ステーション、サリュート1号を打ち上げましたが、4月23日から25日にかけて行われたソユーズ10号とのドッキングは失敗に終わりました。7月26日から8月7日にかけては、アポロ15号が月面に着陸し、月面探査車が初めて使用され、月面活動が大きく拡大しました。

航空会社の動向と運航開始

1971年5月15日には、日本国内航空と東亜航空が合併し、東亜国内航空が誕生しました。この合併は、日本の航空業界の再編を象徴する出来事でした。6月18日には、アメリカのサウスウエスト航空が運航を開始し、低価格航空の先駆けとしての地位を確立しました。また、8月5日にはアメリカン航空がマクドネル・ダグラスDC-10を初めて運航させ、ワイドボディ機の時代を迎えました。

悲劇的な航空事故

1971年には、悲劇的な航空事故も発生しました。6月29日、ソユーズ11号が大気圏突入直前に空気漏れを起こし、乗員3人全員が死亡しました。この事故は、宇宙開発における安全性の重要性を改めて認識させる出来事となりました。7月3日には、東亜国内航空のYS-11「ばんだい号」が函館市北方横津岳山腹に墜落し、68人もの命が失われました。さらに、7月30日には岩手県雫石町上空で全日空機と自衛隊機が空中衝突し、全日空機側の162人が死亡するという、日本の航空史上最悪の事故が発生しました。

その他の出来事

3月24日、アメリカ合衆国議会は超音速旅客機ボーイング2707への資金提供を否決しました。これにより、アメリカの超音速旅客機開発計画は頓挫しました。9月4日には、コンコルドが最初の大西洋横断飛行を成功させました。12月3日から17日にかけてのインド・パキスタン戦争では、インド空軍が72機、パキスタン空軍が94機を失いました。この戦いは、現代戦における航空戦力の重要性を示す事例となりました。

受賞者

この年、航空業界に貢献した人々への賞も授与されました。ハーモントロフィーは、トマス・エステス、ドウェイン・ヴィック、ジェリー・コッブが受賞しました。デラボー賞は、アラン・シェパードとデイヴィッド・スコットが受賞しました。FAIゴールドエアメダルはエルゲン・ロングが、イギリス飛行クラブ金賞はシェーラ・スコットがそれぞれ受賞しました。

1971年は、航空技術の進歩、宇宙探査の拡大、そして悲劇的な事故が同時に発生した、航空史において特筆すべき年でした。これらの出来事は、その後の航空業界と宇宙開発に大きな影響を与えました。

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