1975-76 ABAシーズン

1975-76 ABAシーズン：激動の終焉とNBAへの架け橋

1975-76 ABAシーズンは、アメリカン・バスケットボール・アソシエーション (ABA) の歴史における最後のシーズンとして、数々の変革とドラマに彩られた一年でした。

シーズンの概要

このシーズンでは、ゲームのテンポを加速させるため、ショットクロックが30秒からNBAと同様の24秒に変更されました。また、デイブ・デバスチェアがリーグの新コミッショナーに就任し、ABAの歴史において7人目にして最後のコミッショナーとなりました。

東西のディビジョン制が採用されなかった唯一のシーズンでもあります。ABAが導入していたスリーポイントシュートは、1979-80シーズンにNBAでも採用され、その革新性が認められました。

しかし、チーム運営は安定していたとは言えませんでした。シーズン開始前にはメンフィス・サウンズがボルチモアに移転し、ボルチモア・ハスラーズ、ボルチモア・クローズと名称を変えましたが、プレシーズン中に解散。サンディエゴ・コンキスタドアーズもサンディエゴ・セイルズと名称変更したものの、シーズン中に解散。ユタ・スターズもそれに続きました。バージニア・スクワイアーズは、リーグの審査に通らず、NBAへの加盟を断念し解散しました。

1976年ABAオールスターゲーム

デンバーで開催された1976年のABAオールスターゲームでは、首位のデンバー・ナゲッツが144-138でABAオールスターズを破りました。この試合では、史上初となるスラムダンクコンテストが開催され、ジュリアス・アービングが初代チャンピオンに輝きました。

ABAとNBAの合併

シーズン終了後、1976年6月にはABAとNBAの合併が実現し、デンバー・ナゲッツ、インディアナ・ペイサーズ、ニューヨーク・ネッツ、サンアントニオ・スパーズの4チームがNBAに加盟しました。一方、ケンタッキー・カーネルズとスピリッツ・オブ・セントルイスは解散を受け入れました。スピリッツのオーナー、オジーとダニエル・シルナ夫妻は、新たに加わった4つのフランチャイズが生み出すテレビ収入の7分の1を永続的に受け取るという、非常に有利な契約を結びました。

プレーオフ

1976年のABAプレーオフでは、準々決勝でケンタッキー・カーネルズがインディアナ・ペイサーズを破り、準決勝ではニューヨーク・ネッツがサンアントニオ・スパーズを破りました。決勝では、ネッツがナゲッツを4勝2敗で下し、最後のABAチャンピオンに輝きました。

主要な受賞者

ABA最優秀選手賞: ジュリアス・アービング (ニューヨーク・ネッツ、3回目)
新人王: デイヴィッド・トンプソン (デンバー・ナゲッツ)
最優秀コーチ賞: ラリー・ブラウン (デンバー・ナゲッツ、3回目)
プレーオフMVP: ジュリアス・アービング (ニューヨーク・ネッツ、2回目)
オールスターゲームMVP: デイヴィッド・トンプソン (デンバー・ナゲッツ)
最優秀役員賞: カール・シェア (デンバー・ナゲッツ、3回目)

オールABAチーム

オールABAファーストチーム

ジュリアス・アービング (ニューヨーク・ネッツ)
ビリー・ナイト (インディアナ・ペイサーズ)
アーティス・ギルモア (ケンタッキー・カーネルズ)
ジェームズ・サイラス (サンアントニオ・スパーズ)
ラルフ・シンプソン (デンバー・ナゲッツ)

オールABAセカンドチーム

デイヴィッド・トンプソン (デンバー・ナゲッツ)
ボビー・ジョーンズ (デンバー・ナゲッツ)
ダン・イッセル (デンバー・ナゲッツ)
ドン・ブージー (インディアナ・ペイサーズ)
ジョージ・ガービン (サンアントニオ・スパーズ)

オールディフェンシブチーム

ドン・ブージー (インディアナ・ペイサーズ)
ジュリアス・アービング (ニューヨーク・ネッツ)
アーティス・ギルモア (ケンタッキー・カーネルズ)
ボビー・ジョーンズ (デンバー・ナゲッツ)
ブライアン・テイラー (ニューヨーク・ネッツ)

オールルーキーチーム

ルーサー・バーデン (バージニア・スクワイアーズ)
M・L・カー (スピリッツ・オブ・セントルイス)
キム・ヒューズ (ニューヨーク・ネッツ)
マーク・オルバーディング (サンディエゴ・セイルズ & サンアントニオ・スパーズ)
デイヴィッド・トンプソン (デンバー・ナゲッツ)

1975-76 ABAシーズンは、リーグの終焉であると同時に、NBAに新たな風を吹き込む架け橋となりました。ジュリアス・アービングのようなスター選手の輝き、革新的なルールの導入、そしてNBAとの合併は、バスケットボールの歴史に深く刻まれています。

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