1976年トロントパラリンピック

1976年トロントパラリンピック

1976年トロントパラリンピックは、正式名称を「トロントリンピアード（TORONTOLYMPIAD）」と言い、1976年8月3日から8月11日までの期間、カナダのオンタリオ州トロントで開催された第5回夏季パラリンピック競技大会です。一般的には「トロント1976（Toronto 1976）」とも呼称されます。この年は、同じカナダ国内のモントリオールで夏季オリンピックも開催されており、スポーツへの注目が集まる年でした。

大会の歴史的な意義

トロント大会は、パラリンピックの歴史において極めて重要な転換点となりました。これまでの第1回から第4回までの大会は、主に脊髄損傷のあるアスリートを対象としていましたが、今大会では初めて切断者や視覚障害のある選手が参加を認められました。これにより、参加対象となる障害の種類が大幅に広がり、パラリンピックの競技レベルと規模の拡大に繋がる礎が築かれました。

また、今大会は国際ストークマンデビル競技連盟と国際身体障害者スポーツ連盟が初めて共催した大会でもあります。これは、異なる障害種別に対応する国際的なスポーツ団体間の連携が進んだことを示しており、後の国際パラリンピック委員会の設立へと繋がる動きの先駆けと言えます。

会場と選手村

開閉会式や競技は、主にトロント市内の既存施設を利用して行われました。

開会式会場: ウッドバイン競馬場（エトビコ地区）
閉会式会場: センテニアルパーク・スタジアム
屋外競技会場: センテニアルパーク・スタジアム（主に陸上競技など）
屋内競技会場: センテニアル体育館、センテニアルパーク・オリンピックプール

選手村については、専用の大規模施設は特に設けられず、参加選手はトロント市内の大学や学校に分かれて滞在しました。具体的には、ヨーク大学（キール地区）、トロント大学（ミシサガ地区）、カナダ国立視覚障害者学校（CNIB）などが選手村として活用されました。

実施競技

参加資格の拡大に伴い、実施される競技も多様化しました。今大会で行われた主な競技は以下の通りです。

アーチェリー
陸上競技
ダーチェリー
ゴールボール
ローンボウルズ
射撃
スヌーカー
水泳
テニス
バレーボール
重量挙げ
車いすバスケットボール
* 車いすフェンシング

これらの競技を通じて、世界中から集まったパラアスリートたちが熱戦を繰り広げました。

日本選手団の活躍

日本選手団もトロント大会に参加し、素晴らしい成績を収めました。特に、参加資格が拡大されたことで、多様な障害を持つ選手が活躍する場となりました。

日本は、金メダル9個、銀メダル8個、銅メダル5個を獲得し、合計22個のメダルを持ち帰りました。金メダリストとしては、スラロームとアーチェリーで2つの金メダルを獲得した山崎知子選手、スラロームの岸野功選手、森本雅美選手、星義輝選手、アーチェリーの橋口重信選手、槍正確投の八田智洋選手、ボウリングの脇田治則選手、槍正確投の桜庭良子選手、砲丸投の竹内やす子選手などがいます。

また、富田謙一選手や斎藤道雄選手、中川博選手、本田義治選手、桜庭良子選手、二階谷貢選手、笠井寿選手、竹内やす子選手らが銀メダルを、森本雅美選手、長谷川善二選手、桜庭良子選手、抹香高雄選手、二階谷貢選手らが銅メダルを獲得しました。多くの選手が複数の競技や種目でメダルを獲得するなど、日本選手団は今大会で大きな存在感を示しました。

トロントパラリンピックは、参加選手の多様化と国際連携の強化が進んだ、近代パラリンピック史において非常に意義深い大会として記憶されています。

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