1977年のテレビ (日本)

1977年のテレビジョン放送概観

1977年（昭和52年）の日本のテレビジョン放送は、いくつかの大きな転換点を迎えました。特に注目すべきは、テレビ局の名称変更と、放送の全面カラー化の完了です。これにより、現代のテレビ視聴環境の基礎がより強固に築かれたと言えるでしょう。

NETテレビからテレビ朝日へ

この年の象徴的な出来事の一つが、1977年4月1日に行われた「NETテレビ」の名称変更です。

運営会社の「日本教育テレビ」が「全国朝日放送（ANB）」に社名を改めたことに伴い、呼称も長年親しまれてきた「NETテレビ」から「テレビ朝日」へと変更されました。この新たな船出を記念し、局を挙げて様々な特別番組が放送されました。中でも、黒柳徹子さんが総合司会を務めた長時間特別番組『わが家の友だち10チャンネル 徹子のナマナマ10時間半』は大きな話題を呼び、その中で女優の悠木千帆さんが「樹木希林」へと改名したことは広く知られています。また、この特番の一部として放送された『徹子の部屋』は、視聴者参加コーナーを廃止し、現在のトーク中心のスタイルにリニューアルされました。この記念イヤーには、『特捜最前線』や、その後の看板枠となる『土曜ワイド劇場』、現在まで続く「スーパー戦隊シリーズ」の第2作『ジャッカー電撃隊』など、テレビ朝日の歴史を彩る多くの新番組がスタートしました。

日本のテレビ放送、全面カラー化完了

日本のテレビ放送におけるもう一つの画期的な出来事は、放送のほぼ全面的なカラー化がこの年をもって完了したことです。

10月3日、NHK教育テレビの全番組（過去の再放送等を除く）がカラー放送に切り替わったことにより、特別な演出意図や国外制作番組等を除き、日本のテレビ放送は全てカラーで制作・放送される体制となりました。これは、カラー本放送が開始された1960年9月10日からおよそ17年、VHFでのカラー試験放送が始まった1957年12月28日から数えると20年弱を経ての達成であり、視聴者が色鮮やかな映像を楽しむのが当たり前となる時代の幕開けを意味しました。

視聴率の動向と調査方法の変革

1977年の年間視聴率は、NHKが全日帯（6時～24時）で、TBSがゴールデンタイム（19時～22時）、そして日本テレビがプライムタイム（19時～23時）でそれぞれ首位を獲得し、三局が栄誉を分け合う形となりました。

また、この年には民間の視聴率調査会社であるビデオリサーチが、視聴率調査方法を大きく変更しました。9月26日より関東地区でオンラインメータシステムによる調査が開始され、これにより現在とほぼ同等の、より即時性の高い精緻な視聴率データが得られるようになりました。この調査方法の導入は、その後の番組制作や編成に大きな影響を与えることになります。

1977年を彩った主な番組と出来事

この年は、後のテレビ史に名を残す多くの番組が誕生し、また長年親しまれた番組が終了しました。

新たに始まった番組:
日本テレビ：『アメリカ横断ウルトラクイズ』
フジテレビ：『ドリフ大爆笑』
テレビ朝日：『土曜ワイド劇場』
東京12チャンネル：『ヤンヤン歌うスタジオ』

放送を終えた番組:
よみうりテレビ・日本テレビ系：『そっくりショー』
NET → テレビ朝日：『象印スターものまね大合戦』
TBS系：『フルーツケンちゃん』（『ケンちゃんシリーズ』から主演俳優が卒業）
東京12チャンネル：『独占!男の時間』（生放送中のハプニングも話題に）
* NETテレビ：『特別機動捜査隊』（17年の歴史に幕）

その他、番組関連では様々な出来事がありました。年始には人気シリーズの正月特番が多く放送され、『ヤッターマン』（タイムボカンシリーズ第2作）、NHK大河ドラマ『花神』、NHK連続テレビ小説『いちばん星』や『風見鶏』などが放送を開始しました。TBSのクイズ番組『クイズダービー』では解答者の入れ替わりが激しくなり、はらたいらさんや篠沢秀夫さんといった名物解答者が登場しました。

バラエティでは、フジテレビで単発特番として放送された『ドリフ大爆笑』が好評を博し、月1回のペースでシリーズ化されました。TBSの『8時だョ!全員集合』では公開生放送中に火災が発生するハプニングもありました。ドラマでは、久世光彦氏プロデュースの『ムー』、山田太一氏脚本の『岸辺のアルバム』といった話題作が始まりました。特に『ムー』で共演した郷ひろみさんと樹木希林さんの掛け合いは人気を呼び、続編も制作されました。また、TBSの刑事ドラマ『Gメン'75』ではレギュラー刑事の殉職が描かれるなど、ドラマチックな展開もありました。

アニメ分野では、再放送の好評を受けて制作された『ルパン三世（第2作）』がスタートし、大野雄二氏作曲のテーマソングは広く知られることになりました。また、後のガンダムシリーズにつながる名古屋テレビ制作のロボットアニメ『無敵超人ザンボット3』が始まるなど、現在まで続くシリーズの源流となる作品も登場しました。ドリフターズが出演する人形劇『飛べ!孫悟空』も人気を博しました。

スポーツ分野では、プロ野球の王貞治選手がホームラン世界新記録（756号）を達成した際、中継していた日本テレビが記録達成の瞬間を捉えられなかったことが大きな話題となりました。

その他、芸能界を揺るがしたマリファナ汚染事件の影響で、逮捕されたタレントが出演する番組の差し替えや対応に追われるテレビ局の動きもありました。また、地方では鹿児島県の離島、奄美群島で初の民放テレビ中継局が開局し、本土と同じ民放番組が視聴できるようになるなど、放送網の整備も進みました。

1977年のテレビを振り返って

テレビ朝日の誕生、カラー化完了、視聴率調査方法の変更といった構造的な変化に加え、『アメリカ横断ウルトラクイズ』、『ドリフ大爆笑』、『土曜ワイド劇場』、『ムー』、『岸辺のアルバム』、『ルパン三世』など、今なお語り継がれる多くの人気番組が生まれました。

また、芸能界の出来事やスポーツの記録達成といった社会的なニュースがテレビを通して大きな反響を呼ぶなど、1977年は日本のテレビ放送がその存在感を一層確立し、多様な番組と技術的な進歩をもって視聴者の生活に深く根ざしていく過程における、重要な一年であったと言えるでしょう。

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