1979年の全日本F3選手権

1979年 全日本F3選手権の概要

1979年に行われた全日本F3選手権は、日本初のF3シリーズとして注目を集めました。この大会は3月31日から4月1日に鈴鹿サーキットで開幕し、同年の11月3日から4日にかけて同じく鈴鹿サーキットでシーズンを終えました。全7戦が行われ、最終的に鈴木利男がシリーズチャンピオンを獲得しました。

開催の背景

この全日本F3選手権は、1973年より続いていた全日本FJ1300選手権の参加台数が減少する中、関西のコンストラクターやチームが協力して新たな刺激を求める動きからスタートしました。彼らは1978年に「F3実行委員会」を設立し、日本にF3を導入するための準備を進めました。これにより、日本国内でもイコールコンディションで、かつ低コストで参加できるステップアップカテゴリの必要性が高まりました。

当時、日本には全日本F2選手権とフォーミュラ・パシフィック（FP）があり、これらがトップフォーミュラとして認識されていました。しかし、FPは思うように盛り上がらず、富士スピードウェイでの独自カテゴリである富士GCシリーズが実質的な代表カテゴリーとなっていました。このため、F3の導入が急務となり、中間カテゴリの役割を果たすことが期待されていました。1979年シーズン、全日本FJ1300選手権が終了した後、日本F3協会として「日本F3チャレンジカップ」が創設されました。ここでのチャンピオンには、翌年にヨーロッパでレースを行う権利が与えられる奨学制度も設けられました。

1979シーズンの特徴とレースの展開

新たに立ち上げられた「日本F3チャレンジカップ」は、JAFの承認を受けることなく独自に運営されていたため、厳密には全日本選手権とは呼ばれていませんでした（1981年からJAFの公認を受け始めます）。初戦の鈴鹿では、当時カート出身のルーキー鈴木利男がヒーローズレーシングのラルト・RT1・ノバトヨタで躍進し、2勝を挙げてチャンピオンの座を手にします。その実績により、彼はイギリスF3挑戦の権利も獲得しました。

また、第4戦の富士では、鈴木利男と同じくカート出身で、まだカート選手権にも参加している若き選手、鈴木亜久里がスポット参戦し、初めてのF3レースに挑みました。中古のラルト・RT1でのプライベーター参戦にも関わらず、最終戦では7位に入賞し、選手権ポイントを獲得しました。

このように、1979年の全日本F3選手権は次世代のドライバーにとって重要なステップとなり、鈴木利男の成功は新たな才能の発掘へとつながりました。競技においても多くの技術力や経験を身につける場となり、その後の日本のモータースポーツ界に大きな影響を与えました。

まとめ

1979年の全日本F3選手権は、日本のフォーミュラカー競技の新たな幕開けを告げるものでした。この年のシリーズ構成や鈴木利男を始めとする選手たちの活躍は、国内外のレースシーンに多大な影響を与え、今後の発展につながる礎を築くこととなります。さらに、このシリーズを通じて育った才能が後のF1ドライバーへと成長していくことを期待させられるシーズンでもありました。

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