1984-1985シーズンのNBA

1984-1985 NBAシーズン：変革の幕開け

1984-1985シーズンは、NBAにとってターニングポイントとなる出来事が重なった特別な年でした。マジック・ジョンソンとラリー・バードの活躍で人気を回復したNBAは、この年を境にさらなる高みを目指し、世界的なスポーツリーグへと成長を遂げていきます。

1984年：変革の年

1984年は、マイケル・ジョーダンの登場、ジョーダン世代と呼ばれるスター選手の台頭、デビッド・スターンのコミッショナー就任、サラリーキャップ制度の導入など、NBAの歴史を大きく変える出来事が相次ぎました。当時、人々の注目はマジックとバードのライバル関係に集まっていましたが、これらの出来事はNBAの未来を方向付ける重要な要素でした。

マイケル・ジョーダンの衝撃的な登場

バスケットボール史上最高の選手と評されるマイケル・ジョーダンですが、ドラフト当初は誰もが彼の才能に気づいていたわけではありません。高校時代はチームに入れず、大学時代もチームメイトのジェームス・ウォージーの陰に隠れていました。しかし、1982年のNCAAトーナメント決勝で、ジョーダンは自らの運命を切り開くショットを放ちます。残り17秒、1年生のジョーダンに託されたボールは、見事にゴールに吸い込まれ、ノースカロライナ大学を全米制覇に導きました。この"ザ・ショット"をきっかけに、ジョーダンはカレッジ界のスター選手へと駆け上がります。

NBAのスカウトたちは、ジョーダンよりもヒューストン大学のアキーム・オラジュワンに注目していました。オラジュワンは、将来のトップセンター候補として、多くのチームが獲得を熱望する逸材でした。1984年のドラフトでは、ロケッツが全体1位でオラジュワンを指名。ブルズは3位でジョーダンを指名することになりました。

当初、ジョーダンを指名したブルズですら、彼の真価を完全には理解していませんでした。しかし、ロサンゼルスオリンピックでの活躍を経て、ジョーダンの可能性に気づき始めたブルズは、彼と破格の7年600万ドルの契約を結びます。この決断が、後にブルズに数々の栄光をもたらし、世界で最も有名なNBAチームへと押し上げることになります。

ジョーダン世代の台頭

マジックとバードのライバル関係がNBAの人気を高めたように、ジョーダンが世界的な人気を獲得する上で、ジョーダン世代と呼ばれるライバルの存在は不可欠でした。1984年のNBAドラフトは、NBA史上最高のドラフトと呼ばれ、アキーム・オラジュワン、チャールズ・バークレー、ジョン・ストックトンなど、80年代後半から90年代のNBAを代表するスター選手が多数誕生しました。彼らが各チームに分散し、ジョーダン率いるブルズと激戦を繰り広げることで、NBAの人気はかつてないほどに高まりました。

デビッド・スターンの改革

1984年にコミッショナーに就任したデビッド・スターンは、NBAの経営戦略としてテレビを重視しました。試合中継のアングルにこだわり、NBAを魅力的なエンターテインメントとして世に送り出すための様々な施策を実行しました。また、スポンサー契約やライセンス契約でも辣腕を振るい、破産寸前だったNBAの財政を立て直しました。スターンによってNBAというソフトを世界に向けて発信する手段が確立され、ジョーダン人気の高まりとともにNBAの認知度は飛躍的に高まり、国際的な人気を獲得していきました。

サラリーキャップ制度の導入

1983年の労使協定で導入が決定されたサラリーキャップ制度は、リーグの健全化に大きく貢献しました。財政的に潤っているチームが優秀な選手を集める一方、困窮しているチームは選手を育ててもすぐに他チームに取られてしまうという悪循環を断ち切るため、サラリーキャップ制度が導入されました。この制度は、リーグ全体の戦力均衡を促し、より多くのチームが優勝を争える環境を作り出しました。

シーズン概要

イースタン・カンファレンスでは、ボストン・セルティックス、フィラデルフィア・76ers、ミルウォーキー・バックスが激しい上位争いを繰り広げました。ウェスタン・カンファレンスでは、ロサンゼルス・レイカーズが圧倒的な強さを見せました。

ファイナルは、ロサンゼルス・レイカーズとボストン・セルティックスの対戦となり、レイカーズが4勝2敗で勝利しました。カリーム・アブドゥル＝ジャバーがファイナルMVPに選ばれました。

このシーズンは、数々の変革が重なり、NBAが新たな時代へと突入していく幕開けの年となりました。

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