1987年大韓民国の国民投票

1987年大韓民国国民投票の概要

1987年10月27日、大韓民国で行われた国民投票は、同国の憲法改正を問うものでした。この国民投票は、全斗煥政権下における民主化運動の高まりにより実施されました。1980年の非常戒厳令拡大以来、選挙が間接選挙に限定されていた中で、国民は直接選挙制を強く求めました。

政治背景と民主化運動の高まり

1985年の第12代総選挙では、新韓民主党（新民党）が直接選挙を公約に掲げて躍進しましたが、与党である民主正義党（民正党）は直接選挙制に反対の立場をとっていました。その後の政権への抗議活動や民主化運動が広がり、特に1987年の朴鍾哲君の拷問致死事件は国民の怒りを引き起こしました。

これをきっかけに、民主化運動は国民的な規模に拡大し、6月には大規模な抗議運動が展開されました。政府はこの動きに対抗する形で「民主化宣言」を発表し、直接選挙制の導入を決定しました。

国民投票の実施とその結果

国民投票は10月27日に実施され、改憲案は93.1%の賛成率を得て承認されました。この結果、韓国の憲法は第六共和国憲法として新たに生まれ変わり、先行する九回の改憲とは異なり、与野党が合意した上での平和的な手続きによるものでした。

憲法改正の内容

憲法改正の主なポイントには、大統領の直接選挙制の復活、任期の短縮（7年から5年）、国会解散権の削除、国務総理および国務委員の解任議決権の変更、憲法裁判所の新設など、基本的人権の強化に関する重要な変更が含まれていました。

国民が求めた基本権の保障や、適法手続きの条項などが新たに定められ、言論や集会の自由が保障されることになりました。さらに、最低賃金制の施行や労働者の権利保障に関する条項も盛り込まれました。

政治会談と合意形成

憲法改正に向けて、与党と最大野党は「8人政治会談」を開き、さまざまな争点について話し合いました。具体的には、選挙権の年齢、大統領任期、候補者資格などが議論されました。最終的には、与党がいくつかの譲歩をし、改正案が大筋で合意されるに至りました。

この歴史的な出来事は、韓国における民主主義の発展において重要な一歩となり、国民の声を反映した政治体制への変革を象徴するものでした。国民投票を通じて設定された新たな憲法は、韓国の政治史において大きな意義を持つものです。

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