1990年のラジオ (日本)

1990年、日本のラジオシーンは多様な動きを見せた一年でした。

この年はまず、新たなFM局の開局が相次ぎました。4月1日には石川県を放送区域とするエフエム石川が、そして10月1日には兵庫県の兵庫エフエムラジオ放送と大分県のエフエム大分が開局。これにより、地域に根ざした情報や音楽を提供する新たな放送波が加わり、リスナーの選択肢が広がりました。

番組編成においては、長年親しまれてきた枠や番組がその歴史に幕を下ろす一方、新しい試みも数多く見られました。ニッポン放送では、日産自動車が長年提供してきた平日夜のナイターオフ編成枠が、1988年度まで30分、終了時点では20分枠として続いた11シーズンの歴史に終止符を打ちました。また、日立製作所提供の平日30分番組『HITACHI FAN! FUN! TODAY』も終了し、前身番組から続いた同社提供の平日30分枠が姿を消すことになりました。一方で、同年10月にはニッポン放送の平日19時台ナイターオフ枠が、特定の一社提供から複数社提供へと変更されるなど、提供形態の変化も見られました。

新番組のスタートも目白押しでした。特に春と秋の改編期には、各局で様々なジャンルの番組が放送を開始しました。4月には、TBSラジオで現在も続く長寿番組『森本毅郎・スタンバイ!』が放送を開始。NHKラジオ第1放送では深夜放送の草分け的存在となる『ラジオ深夜便』が、NHK-FM放送では『ひるのワイド歌謡曲』や『歌謡スクランブル』といった音楽番組がスタートしました。

民放キー局では、ニッポン放送で『内海ゆたおの夜はドッカーン!』、『ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回』、『タモリの週刊ダイナマイク』、『三宅裕司のどよ〜ん!』など、人気パーソナリティを起用した番組が多数登場。また、『爆笑問題のオモスルドロイカ帝国』や『大槻ケンヂのオールナイトニッポン』など、その後の活躍につながる顔ぶれも登場しました。文化放送では『志の輔ラジオ 気分がいい!』が始まり、TBSラジオでは『それゆけ洋七元気丸!』や『上岡龍太郎のサタデー・ぴぷ!』などがスタート。10月改編では、TBSラジオ『岸谷五朗の東京RADIO CLUB』、ニッポン放送『そのまんま東のぐらぐら・グラッチェ』、『羽野晶紀のミュージックハーモニー』などが開始するなど、多くの番組が生まれました。

地方局でも様々な新番組が始まり、リスナーのニーズに応えるべく、地域色豊かな番組や新しい試みが展開されました。例えば、CBCラジオの『CBCラジオヘッドライン』、朝日放送の『ナイス9!長沢彰彦です』、九州朝日放送の『3P』などがあります。

終了した番組としては、NHK-FMの『ジョイフルポップ』や『ミュージックシティー』が3月に、TBSラジオの『百万人の音楽』が9月に、STVラジオの『サンデージャンボスペシャル』が10月にそれぞれ終了するなど、長年親しまれた番組が惜しまれつつ放送を終えました。

このように1990年は、新たな放送局の誕生によるエリア拡大と、多様なパーソナリティや企画を取り入れた番組編成の大幅な変化が同時に進行し、日本のラジオ界全体に活気をもたらした一年と言えるでしょう。

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