1990年の全日本F3選手権

1990年全日本F3選手権

1990年の全日本F3選手権は、日本のモータースポーツ界において非常に重要なシーズンでした。この選手権は1990年3月3日から4日にかけて鈴鹿サーキットで開幕し、11月17日から18日に再び鈴鹿サーキットで閉幕しました。全10戦が開催され、最終的には服部尚貴がシリーズチャンピオンの栄誉を手にしました。

シーズンの概要

前年のチャンピオンである影山正彦、準優勝の佐藤浩二、3位の村松栄紀の3人は、全日本F3000選手権を目指してシートを獲得しました。村松選手はF3とのダブルエントリーを行う予定でした。そのため、1990シーズンのF3には新たな顔ぶれが続出しました。

特に注目されたのは、前年のフォルクスワーゲン・GXエンジンでの唯一の勝利を果たした服部尚貴でした。彼は今シーズンから無限・MF204エンジンにスイッチし、開幕戦から積極的なアプローチでリーダーシップを発揮しました。さらに、和田久選手も初戦から彼との好勝負を繰り広げ、シーズンを盛り上げる存在となりました。

ルーキーたちも台頭し、前年の鈴鹿FJ1600チャンピオンである高村一明をはじめ、FJ1600からステップアップしてきた西垣内正義、桧井保孝、浅見武らがファーストシーズンに挑みました。また、全日本カート選手権での活躍を背景に、18歳の本山哲もフォーミュラデビューを果たしました。影山正美選手もF3デビューを果たし、多くの新しい才能が見られました。

参戦車両と技術

参戦していたマシンのシャシーは大部分がラルト製であり、ごく少数ながらレイナードやダラーラも見られました。日本のF3ではまだ2年目のダラーラは、サーキットへのアジャストに苦労しながらも挑戦を続けていました。ドライバーの井上選手は、フロントサスのセッティングがダイレクトな課題であると語り、彼らが戦闘力を発揮するにはさらなる進化が必要だと感じていました。

エンジンに関しては、全体の9割が無限・MF204エンジンを搭載しており、この選手権を支配しました。唯一、原貴彦がレイナード・無限での1勝を挙げましたが、それ以外の全ての勝利はラルト・無限によるものでした。一方で、トヨタ・3S-Gエンジン勢はトムスに所属するビクトル・ロッソが鈴鹿で4位に入るのが精いっぱいでした。

日産・CA18Dエンジンは開幕時には3台でのエントリーでしたが、シーズン中には無限エンジンへと変更されるケースが見受けられました。結局、影山正美選手だけが日産エンジンで全レースを戦う結果となり、ポイント獲得に苦戦しました。この年をもって日産のF3エンジンプロジェクトは終了を迎えることになります。

シーズンの展望

1990シーズンは、開幕戦から第3戦までに5人がF3初優勝を達成するという混戦となりました。服部選手は第4戦の筑波で初優勝を果たし、その後もポイントを着実に積み重ねていきました。第6戦SUGOでの2勝目を経て、彼はポイント争いで他をリードしましたが、第7戦では古谷が勝利し、さらにシリーズを盛り上げました。

シリーズは最終的に6人の異なるウィナーが現れるなど、非常に活気に満ちたレースでした。この本シリーズでの活躍を受けて、服部選手と古谷選手は翌シーズンから全日本F3000へステップアップを果たしました。

こうして1990年の全日本F3選手権は、多くのドラマとともに幕を閉じました。参加した選手たちはそれぞれ特徴を持ち、さらなる成長に向けた土台を築くことができたことでしょう。

もう一度検索