1992年のドイツツーリングカー選手権

1992年ドイツツーリングカー選手権：メルセデスの勝利と各陣営の戦い

1992年の[ドイツツーリングカー選手権]は、4月5日のゾルダー・サーキットを皮切りに、10月11日のホッケンハイムリンクで最終戦を迎えるまで、全12ラウンド24レースの激戦が繰り広げられました。このシーズンは、メルセデス・ベンツにとって歴史的な年となりました。

チャンピオンシップの結果

ドライバーズチャンピオンは、メルセデス・ベンツAMGチームのクラウス・ルドヴィックが、1988年以来となるタイトルを獲得しました。マニュファクチャラーズチャンピオンシップもメルセデス・ベンツが制し、念願のDTM初タイトルを手にしました。ドライバーズチャンピオンシップでは上位25名がポイントを獲得し、1位から10位までそれぞれ20、15、12、10、8、6、4、3、2、1ポイントが与えられました。

各ワークスチームの動向

メルセデス・ベンツ: AMG、MS、ザクスピードの3チームから8台の190E 2.5-16エボリューションIIを投入。オフシーズンの改良が功を奏し、全24レース中16勝という圧倒的な強さを見せつけました。ルドヴィックとザクスピードのクルト・ティームによるタイトル争いとなりましたが、メルセデスはルドヴィックへのタイトル獲得を支援。さらにAMGのエレン・ロールはホッケンハイムの第1レースで女性ドライバーとして初の優勝を達成しました。メルセデスはドライバーズ、マニュファクチャラーズ、チームタイトル（AMG）の3冠を達成しました。

BMW: シュニッツァー、FINA、ビガッツィの3チームから6台のM3で参戦。体制を縮小したものの、ワークスサポートを受けたドライバーもおり、FINAチームのジョニー・チェコットは2勝を挙げランキング4位に入りました。シーズン中盤、M3の空力改良が認められたことで競争力を回復させ、4連勝も記録しましたが、メルセデスの優位を覆すには至りませんでした。

アウディ: SMSとAZRの2チームから4台のクワトロで参戦。当初1300kgの最低重量規定により苦戦しましたが、後に1250kgに緩和されました。しかし、シーズン中盤に新設計クランクシャフトがレギュレーション違反と判断され、シーズン途中で撤退を余儀なくされました。唯一の優勝は、ニュルブルクリンク第2戦第1レースでフランク・ビエラが雨のレースを制したのみでした。

オペル: カリブラの開発に注力し、ワークスチームは参加せず、エッゲンバーガー、イルムシャー、シューベル各チームを支援しました。

その他のレース

1992年は、DTM規定車のスパ・フランコルシャン24時間レースへの参戦が認められました。BMWは3チームから5台のM3をエントリーさせ、日産スカイラインGT-Rと優勝を争いました。激しい戦いの末、BMWビガッツィチームのスティーブ・ソーパーが優勝しました。

マカオグランプリのギア・レースでは、メルセデスとBMWが参戦。メルセデス勢はアクシデントに見舞われましたが、BMWは1位から3位を独占しました。

ニュルブルクリンク24時間レースでは、BMWのジョニー・チェコット組がDTMクラスで優勝しました。

1992年DTMは、メルセデス・ベンツの圧倒的な強さと、他のメーカーの奮闘、そして様々なドラマが詰まったシーズンとなりました。それぞれのチームの戦略、マシンの性能、ドライバーの技量が複雑に絡み合い、記憶に残るレースが数多く繰り広げられました。

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