1992年の全日本F3選手権

1992年全日本F3選手権

1992年の全日本F3選手権は、3月7日に鈴鹿サーキットで幕を開け、11月15日に同じく鈴鹿でシーズンを終えました。このシーズンは全10戦が行われ、イギリスのドライバー、アンソニー・レイドが5勝を挙げてシリーズチャンピオンに輝きました。

概要

この年、トムス・トヨタは前年の高剛性シャシーの成功を受けて、さらなる連覇を目指しました。パウロ・カーカッシが全日本F3000にステップアップし、イギリスF3での優勝経験を持つリカルド・リデルと、イタリアF3の若手ドライバー、ジャック・ヴィルヌーヴを新たに起用しました。一方、全日本F3に参戦するヨーロッパ勢も充実。ドイツF3チャンピオンのトム・クリステンセンがナビコネクションから参戦するなど、強敵がひしめくシーズンとなりました。

シーズン中盤には、全日本F3000に参加するミカ・サロがF3にも出場。一方、スコットランド出身の女性ドライバー、ヘザー・ベイリーが「SHE'S F3」として参戦し、注目を集めました。

日本人ドライバーとしては、高村一明が前年のランキング2位からF3000へステップアップし、その後任としてCABINホシノレーシングへ移籍。トムスには田中哲也や石川朗、本山哲などのドライバーも参戦し、王座争いに挑みました。

技術的な挑戦

2月の事前テストでは、新型のラルトRT36が直線での遅さを露呈し、旧型RT35で出走するエントラントが相次ぎました。開幕戦鈴鹿では、RT35の選手が多く、最速タイムを記録したのはアンソニー・レイドでした。彼はその後のレースでも優勝を重ね、シーズン4連勝を達成しました。

この間、RT36を使用していたドライバーたちはパフォーマンスに苦しみ、第3戦富士では高村がRT35に乗り換え、予選をトップで通過しましたが、最終的にレイドが勝利をおさめました。これにより、レイドと高村の間での激しい競り合いが続きました。

シーズンの展開

しかし、レイドの連勝は第5戦仙台ハイランド以降、苦戦を強いられました。トムス勢が安定した成績を収める中、ヴィルヌーヴが数回優勝を果たしました。それでも、最終的にはレイドが第8戦で勝利を収め、シーズン5勝目を達成。これにより、彼は2戦を残してチャンピオンシップを確定させました。

シーズンを通して、全ての優勝者が外国籍ドライバーであり、最上位の日本人は石川朗の4位でした。彼は翌年のF3000へのステップアップを果たす結果となりました。

参戦エンジンとシャシー

主に使用されたシャシーには、トムス・032Fやラルト・RT36があり、それぞれ異なる特性を持って戦いました。特にトムス・032Fは安定性を保ちつつ、調整を加えミドルから後半戦でのパフォーマンスを発揮しました。

エンジンについては、トヨタ・3S-Gや無限・MF204などが使用され、それぞれのドライバーが技術的な利点を活かして競争しました。トヨタは特に高速域での伸びが評価され、無限エンジンは中低速トルクに優れ、出場選手たちを支えました。

結論

1992年の全日本F3選手権は、競争が激化し、さまざまなサプライズがあったことが特徴です。レイドの圧倒的な強さとともに、他の選手たちも各々の技術を磨き、シーズンを戦い抜きました。次のシーズンも多くの期待が寄せられる結果となりました。

もう一度検索