1994年の全日本ツーリングカー選手権

1994年全日本ツーリングカー選手権（JTCC）概要

1994年の全日本ツーリングカー選手権（JTCC）は、1994年4月23・24日に大分阿蘇レーシングパークで始まり、同年の10月29・30日に富士スピードウェイで終了した全9大会・全18戦のシリーズです。この年のシリーズでは、前年までのレギュレーションからの大きな変更が行われ、新しい体制下での激戦が繰り広げられました。

主な変更点

レギュレーションの変更

JTCCは、これまでの9年間「Gr.A」規定に基づいて車両がレースされてきましたが、1994年からは国際自動車連盟（FIA）の「ツーリングカークラスII」規定を採用しました。具体的には、クラスIIにおいては、2リットルの自然吸気エンジン（2LNA）を搭載した4ドア車が競技車両として認められ、改造範囲も広がりました（ギアボックスは6速以下で自由）。ただし、車両の寸法やエンジンの最高回転数に関しては厳密な規定が残され、新しく導入されたこのルールは「ニューツーリングカー」とも称されました。

マシンの動向

トヨタ

トヨタは、BTCCにおいてすでにカリーナE（日本での名称はコロナ）での参戦実績を持つ中、1993年モデルを基にトムスGBが改良を施しました。この車両は高いパフォーマンスを発揮し、特に関谷正徳選手がトムスから参戦してチャンピオンに輝くなど、シリーズ全体を通じて強力な競争力を示しました。また、TRDによるカローラやその姉妹車種もプライベートチームで使用され、様々なバリエーションが見られました。

日産

日産は、BTCCでのプリメーラを基に開発したJTCC指定の競技車両をヤンスピードが製作しました。しかし、BTCC車両との相違が影響し、トヨタやBMWには及びませんでした。それでも日産の挑戦は続きました。

ホンダ

一方、ホンダはクラスII車両の開発経験がなく、前年度のシビックフェリオのテストデータを元にJTCC車両を開発しましたが、従来のGr.A車両に近い設計から期待されるパフォーマンスを得ることができず、勝利を収めることはありませんでした。

その他のメーカー

BTCCなどで実績のある海外メーカーも積極的に参戦しました。BMWはセミワークスのシュニッツァー・モータースポーツがトヨタとのチャンピオン争いを繰り広げ、HKSはボクスホール（後にオペル）と協力し、アンソニー・レイド選手が参加し開幕戦で2連勝を果たしました。また、イタリアスーパーツーリズモ選手権（CIVT）に参戦していたプライベートチームによるアルファロメオも見受けられました。

エントリーリストとタイヤ供給

各チームは、以下のタイヤメーカーを使用しました：ブリヂストン（B）、ミシュラン（M）、ヨコハマ（Y）、ダンロップ（D）、トーヨータイヤ（T）、オーツタイヤ（F）。

シリーズ全体

1994年のJTCCシリーズは、どのレースも見どころが多く、エントリーリストには多様なマシンが並びました。熱戦の結果を示すポイントランキングや個々のレース結果は、競技の盛り上がりを物語るものとなりました。選手たちの戦略と技術が試される中、各チームの努力と情熱が引き出され、ファンにとっても忘れられないシーズンとなりました。

まとめ

1994年の全日本ツーリングカー選手権は、新しい挑戦と競争の歴史が刻まれた年といえます。新たなレギュレーションのもと、選手たちが繰り広げた熱戦は、以降の日本モータースポーツ界に大きな影響を与える結果となりました。

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