1998年のラジオ (日本)

1998年の日本のラジオ界は、多様な変化が同時進行した一年として記憶されます。特に、既存の主要ネットワーク番組における編成見直しと、地域密着型メディアであるコミュニティFMの全国的な広がりが顕著な特徴でした。この年は、深夜帯の顔ぶれが一部刷新され、長年親しまれた番組形式にも変化が生じ、同時に多くの地域で新たなラジオ局が誕生しました。

番組編成の主な動き

春の改編期には、ニッポン放送の深夜の代名詞とも言える「オールナイトニッポン」において、第2部の名称が「オールナイトニッポンR」へと変更されるという出来事がありました。これは、若者文化の発信地としての同番組が新たな時代に対応しようとする姿勢を示すものでした。また、4月にはTBSラジオで、長寿番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」が関東地区での放送時間を移動させ、新たに「トヨタうわさの調査隊」がスタートしました。これは、特定の時間帯における番組ラインナップの刷新を象徴する動きでした。

秋の改編期にも重要な変化が見られました。ニッポン放送では、長年にわたり親しまれてきた日立製作所一社提供の番組枠が、「KOASAくんの日立ほっとトーク」の終了をもって幕を閉じました。これは、1963年から続く歴史ある企業提供枠の終了であり、ラジオと企業タイアップのあり方における一つの時代の終わりを告げる出来事とも言えます。さらに、平日昼前の10分番組も、「田中美和子のどーですか、みなさん!」から「どうですか歌謡曲」へと引き継がれましたが、後者の一部はニッポン放送からの裏送り形式となりました。

深夜から早朝にかけての番組にも大きな動きがありました。TBSラジオの看板番組の一つであった「いすゞ歌うヘッドライト〜コックピットのあなたへ〜」は、10月に放送開始時刻を3時から4時に繰り下げることで、放送時間が実質的に1時間短縮されました。同時に、いすゞ自動車のCMをネットする放送局が大幅に削減され、CM放送中は他のネット局でフィラー対応となりました。番組タイトルも「歌うヘッドライト〜コックピットのあなたへ〜」と変更されました。この改編に伴い、南海放送や高知放送など一部の地方局では、この時間帯の番組を「オールナイトニッポンR」に切り替える選択をし、空いた3時台には新たな音楽番組「ライド・オン・ミュージック」が開始されました。これらの変化は、深夜・早朝帯のラジオ番組の提供体制やネット状況が多様化していることを示唆していました。

コミュニティFMの開局ラッシュ

[1998年]]は、特に地域に根ざした情報発信を担うコミュニティFM局の開局が相次いだ年でした。全国各地で新たな放送局が誕生し、地域メディアとしてのラジオの存在感が増しました。1月にはラヂオもりおか（岩手）、エフエム西東京（東京）が、2月にはエフエム雪国（新潟）、3月にはエフエム浦安（千葉）、西宮コミュニティ放送（兵庫、現さくらFM）が開局。4月には、さっぽろにしエフエムほうそう（北海道）、シティエフエム静岡（FM-Hi!、静岡）、調布エフエム放送（東京）、エフエムあやべ（FMいかる、京都）、フラワーコミュニティ放送（フラワーラジオ、埼玉）、やおコミュニティ放送（FMちゃお、大阪）、エフエムいわぬま（宮城）などが誕生しました。5月以降も、エフエム伊東（なぎさステーション、静岡）、南紀白浜コミュニティ放送（ビーチステーション、和歌山）、中央エフエム（東京）、エフエム佐久平（長野）、エフエムたじま（FMジャングル、兵庫）、コミュニティエフエム下関（COME ON! FM、山口）、FMながおか（新潟）、エフエム世田谷（東京）、エフエムぬまづ]など、多くの局が放送を開始しました。これにより、地域住民にとってより身近なメディアとしての[[ラジオの役割が拡大しました。これらの多くは現在も地域情報の発信拠点として活動していますが、中には後に放送を終了したり廃止されたりした局も含まれています。1998年のコミュニティFM開局ラッシュは、メディアの多様化と地域コミュニティにおけるラジオの新たな可能性を示す動きでした。

まとめ

1998年は、全国規模のネットワーク番組における長寿枠の変遷や深夜帯の再編、そして地域社会に密着したコミュニティFM局の爆発的な増加といった、多様な側面から日本のラジオ界が変化を遂げた年でした。これらの出来事は、その後のラジオメディアのあり方や、地域情報発信における役割にも影響を与えていくことになります。

もう一度検索