1999年のイギリスツーリングカー選手権

1999年 オートトレーダーRACイギリスツーリングカー選手権：激動のシーズン

1999年のイギリスツーリングカー選手権（BTCC）は、シリーズ42年目を迎えたシーズンであり、数々のドラマチックな展開と驚くべき結果で記憶に残るものとなりました。

最も注目すべき出来事の一つは、日産ワークスのローラン・アイエロが、BTCCデビューイヤーにしてチャンピオンに輝いたことです。これは、多くのベテランドライバーを抑えての快挙であり、大きな話題を呼びました。チームメイトのデイビッド・レズリーが2位、前年チャンピオンのリカルド・リデルが3位と、日産ワークスの強さが際立ちました。

しかし、このシーズンを彩ったのはワークスチームだけではありませんでした。インディペンデントドライバーとして参戦したマット・ニールが、ドニントンパークで行われた一戦で優勝を果たしたのです。これは、インディペンデントドライバーとしてBTCCのフィーチャーレースで優勝した初めての快挙であり、TOCAから賞金25万ポンドが贈られました。ニールの活躍は、ワークスチームと肩を並べるインディペンデント勢の潜在能力を示す象徴的な出来事となりました。

このシーズンは、参加チームやレギュレーションにも大きな変化がありました。まず、ワークスチームの顔ぶれが大きく変わりました。アウディとプジョーが選手権から撤退し、その枠には新たな勢力が入り込みました。一方、ホンダはプロドライブと、フォードはウエスト・サリー・レーシングとタッグを組み、従来の枠組みを超えた協力関係が生まれています。タイヤはミシュランに統一され、全てのドライバーが同一条件で競争することになりました。また、BTCCでは初となるナイトレースがスネッタートン・サーキットで開催され、観客に新たな興奮をもたらしました。照明の工夫により、ドライバーの視界確保にも配慮がなされた点が注目されます。

トム・ウォーキンショー・レーシングはボルボのワークスチームとして参戦し、リカルド・リデルと共に新たなドライバー、ヴィンセント・ラダーメッカを迎えました。日産はRMLが設計したプリメーラを走らせ、レズリーと新加入のアイエロという強力なドライバー陣を擁していました。ホンダは、ジェームス・トンプソンとピーター・コックスというドライバー陣を擁し、さらにガブリエル・タルキーニが一部レースに参戦しました。ウィリアムズは、ルノー・ラグナを走らせ、ジェイソン・プラトとジャン＝クリストフ・ブイヨンというドライバー陣を擁しました。トリプルエイト・レーシングはボクスホール・ベクトラを走らせ、ジョン・クレランドとイヴァン・ミュラーという強力なドライバー陣を擁していました。フォードはプロドライブがワークスチームとして運営し、アラン・メニュとアンソニー・レイドという強力なドライバー陣を擁していました。

インディペンデント勢では、マット・ニールの活躍に加え、マーク・ブレア（ボクスホール・ベクトラ）、リー・ブルックス（ホンダ・アコード）、ポーラ・クック（ホンダ・アコード）、ラッセル・スペンス（ルノー・ラグナ）といったドライバーたちが、それぞれのマシンで奮闘しました。しかし、予算やマシンの競争力、そしてアクシデントなど、様々な要因が彼らの戦いを困難にすることもありました。

1999年シーズンのイギリスツーリングカー選手権は、ワークスチームとインディペンデントチームの競争、レギュレーション変更、そして新たなテクノロジー導入など、様々な要素が絡み合い、非常に興味深いシーズンとなりました。アイエロの優勝、ニールの快挙、そして各チームの戦略、ドライバーたちのドラマなど、多くの記憶に残る瞬間が生まれました。このシーズンの結果は、その後のBTCCの発展にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

ポイントシステム

ドライバーズチャンピオンシップでは、各レースの上位10位までポイントが与えられ、シーズン終了後に下位4レースのポイントを廃棄するシステムでした。ポールポジションと、フィーチャーレースでのリードラップにもポイントが加算されました。マニファクチャラーズチャンピオンシップでは、各メーカーの上位2台のポイントのみが加算され、同様にシーズン終了後に下位4レースのポイントが廃棄されました。

もう一度検索