2-クロロエタノール

2-クロロエタノール：用途と危険性

2-クロロエタノールは無色で、かすかに甘いエーテル様の臭気を有する液体です。水によく溶け、様々な用途で利用されてきました。別名として、2-クロロ-1-エタノール、2-モノクロロエタノール、エチレンクロロヒドリンなど多くの呼び名があります。

製造と用途

2-クロロエタノールは、エチレンと次亜塩素酸を反応させることで製造されます。その用途は多岐に渡り、酸化エチレンの製造における中間体として最も重要な役割を果たします。さらに、染料、医薬品、殺菌剤、可塑剤などの合成原料として使用されるほか、酢酸セルロースやエチルセルロースといった化学物質の製造にも用いられています。

また、繊維のプリント染料、脱蝋剤、ロジンの精製、松リグニンの抽出、ドライクリーニングの溶剤など、幅広い産業分野で溶剤としても活躍してきました。しかしながら、その流通量は少量です。これは、必要に応じて容易に製造できるため、大量に保管する必要がないためです。

毒性と規制

2-クロロエタノールは強い毒性を持ち、高濃度の蒸気を吸入すると死に至る危険性があります。皮膚からも吸収され、中枢神経系、循環器系、腎臓、肝臓などに障害を引き起こす可能性があります。また、目や肺への刺激も強く、引火性や爆発性も併せ持っています。これらの危険性から、日本では毒物及び劇物取締法により劇物に指定され、「エチレンクロルヒドリン」という名称で規制されています。

さらに、発がん性物質であるエチレンオキシド（EO）の製造過程での中間体として存在することから、アメリカ、カナダ、EUなど多くの国々でその製造や使用が厳しく規制されています。アメリカ合衆国の緊急計画及び地域の知る権利に関する法律（42 U.S.C. 11002）のセクション302では、極めて危険有害な物質としてリストアップされています。

まとめ

2-クロロエタノールは、様々な産業で有用な化学物質として利用されてきましたが、その強い毒性と発がん性物質生成への関与から、取り扱いには細心の注意が必要です。現在では、その危険性から製造や使用が厳しく規制されており、安全な代替物質の開発と使用が求められています。今後、環境への影響や健康リスクを考慮した、より安全な化学物質の利用が重要となるでしょう。

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