2004年の台風

2004年は、太平洋北西部で発生する熱帯低気圧である台風が、例年とは異なる動きを見せた特異な年でした。太平洋高気圧の配置が通常と異なっていたため、年間で29個発生した台風のうち、3分の1以上にあたる10個が日本に上陸しました。これは1951年の統計開始以降で最多の記録です。

2004年の台風の特徴

日本への上陸数: 年間で10個の台風が日本に上陸し、過去最多を記録。
太平洋高気圧の影響: 太平洋高気圧の異常な配置が、台風の進路に影響。

各台風の詳細

台風1号 (スーダエ)

発生: 4月5日、カロリン諸島付近
アジア名: スーダエ (Sudal, 韓国語でカワウソ)
フィリピン名: コスメ (Cosme)
特徴: ミクロネシアのヤップ島などを直撃し、大きな被害が発生。アジア名「スーダエ」はこの台風限りで使用中止。

台風2号 (ニーダ)

発生: 5月14日、フィリピンのミンダナオ島沖
アジア名: ニーダ (Nida, タイ語で女性の名前)
フィリピン名: ディンド (Dindo)
特徴: フィリピン東部を中心に農作物や家屋に被害、土砂崩れも発生。31人の死者。

台風3号 (オーマイス)

発生: 5月18日、カロリン諸島
アジア名: オーマイス (Omais, アメリカ語で徘徊)
フィリピン名: エンテン (Enteng)
特徴: 発達せず、フィリピンの東方を北上。

台風4号 (コンソン)

発生: 6月6日、南シナ海
アジア名: コンソン (Conson, ベトナムの観光地名)
フィリピン名: フランク (Frank)
特徴: 沖縄県を縦断し、高知県室戸市付近に上陸。統計開始以降5番目に早い上陸。

台風5号 (チャンスー)

発生: 6月10日、南シナ海
アジア名: チャンスー (Chanthu, カンボジア語で花の名前)
フィリピン名: ゲナー (Gener)
特徴: フィリピンを通過後、ベトナムに上陸。ベトナムで大きな被害、38人が死亡。

台風6号 (ディアンムー)

発生: 6月13日、カロリン諸島
アジア名: ディアンムー (Dianmu)
フィリピン名: ヘレン (Helen)
特徴: 6月の台風としては統計開始以降最強の勢力で高知県室戸市付近に上陸。兵庫県明石市付近にも再上陸。

台風7号 (ミンドゥル)

発生: 6月23日、マリアナ諸島
アジア名: ミンドゥル (Mindulle, 北朝鮮語でタンポポ)
フィリピン名: イグメ (Igme)
特徴: フィリピンと台湾で大きな被害。台湾では25年ぶりの大洪水。

台風8号 (テンテン)

発生: 6月26日、トラック諸島の北
アジア名: テンテン (Tingting, 香港語で少女の名前)
特徴: マリアナ諸島で記録的な大雨。グアムでは日降水量が400mmを超える。アジア名「テンテン」は使用中止。

台風9号 (コンパス)

発生: 7月14日、沖縄の南海上
アジア名: コンパス (Compasu, 日本語でコンパス座)
フィリピン名: ジュリアン (Julian)
特徴: 西進してバタン諸島付近を通過。

台風10号 (ナムセーウン)

発生: 7月25日、南鳥島の西海上
アジア名: ナムセーウン (Namtheun)
特徴: 高知県西部に上陸後、山口県岩国市付近に再上陸。

台風11号 (マーロウ)

発生: 8月4日、日本の南海上
アジア名: マーロウ (Marou)
特徴: 徳島県東部に上陸後、四国・中国地方を縦断。

台風12号 (ムーランティ)

発生: 8月4日
アジア名: ムーランティ (Meranti, マレーシア語で木の名前)
特徴: 日本の東海上を通過。

台風13号 (ラナニム)

発生: 8月8日、フィリピンの東方沖
アジア名: ラナニム (Rananim, ミクロネシア語でこんにちは)
フィリピン名: カレン (Karen)
特徴: 沖縄の島々を通過し、中国に上陸。

台風14号 (マラカス)

発生: 8月11日、日本のはるか南東
アジア名: マラカス (Malakas, フィリピン語で強い)
特徴: 発達せず、太平洋上を北上。

台風15号 (メーギー)

発生: 8月16日、フィリピンの東海上で
アジア名: メーギー (Megi)
フィリピン名: ラウィン (Lawin)
特徴: 青森県津軽半島に上陸。

台風16号 (チャバ)

発生: 8月19日、マーシャル諸島近海
アジア名: チャバ (Chaba)
特徴: 鹿児島県串木野市付近に上陸後、北海道函館市付近に再上陸。

台風17号 (アイレー)

発生: 8月20日、フィリピン東方
アジア名: アイレー (Aere, アメリカ語で嵐)
フィリピン名: マース (Marce)
特徴: 石垣島の平久保崎付近を通過し、中国大陸へ。

台風18号 (ソングダー)

発生: 8月28日、マーシャル諸島付近
アジア名: ソングダー (Songda)
フィリピン名: ニナ (Nina)
特徴: 長崎市付近に上陸し、九州北部を通過。北海道付近で勢力が再発達。

台風19号 (サリカー)

発生: 9月4日、サイパン島付近
アジア名: サリカー (Sarika, カンボジア語でさえずる鳥)
特徴: あまり発達せず。

台風20号 (ハイマー)

発生: 9月11日、台湾付近
アジア名: ハイマー (Haima, 中国語でタツノオトシゴ)
フィリピン名: オフェル (Ofel)
特徴: ほとんど発達せず。

台風21号 (メアリー)

発生: 9月22日、グアム島の西海上
アジア名: メアリー (Meari)
フィリピン名: キンタ (Quinta)
特徴: 鹿児島県串木野市付近に上陸後、大阪府大阪市に再上陸。

台風22号 (マーゴン)

発生: 10月4日、フィリピンの東
アジア名: マーゴン (Ma-on)
フィリピン名: ロリー (Rolly)
特徴: 静岡県伊豆半島付近に上陸し、千葉県千葉市付近に再上陸。関東地方を縦断。

台風23号 (トカゲ)

発生: 10月13日、マリアナ諸島近海
アジア名: トカゲ (Tokage)
フィリピン名: シオニー (Siony)
特徴: 高知県土佐清水市に上陸。日本上陸台風として過去4番目に遅い上陸。

台風24号 (ノックテン)

発生: 10月16日、トラック諸島の北東
アジア名: ノックテン (Nock-ten, ラオス語で鳥)
フィリピン名: トニヨ (Tonyo)
特徴: 台湾東岸をかすめるように進んだ。

台風25号 (ムイファー)

発生: 11月14日、フィリピンのレイテ島東方
アジア名: ムイファー (Muifa, マカオ語で梅の花)
フィリピン名: ウンディング (Unding)
特徴: ベトナムで洪水や土砂崩れが発生。死者・行方不明者100人以上。

台風26号 (マールボック)

発生: 11月22日、ルソン島の東岸付近
アジア名: マールボック (Merbok, マレーシア語で鳥の名前)
フィリピン名: ヴィオレッタ (Violeta)
特徴: ほとんど発達せず、発生からわずか6時間で消滅。

台風27号 (ナンマドル)

発生: 11月29日、カロリン諸島付近
アジア名: ナンマドル (Nanmadol)
フィリピン名: ヨヨン (Yoyong)
特徴: ルソン島に上陸し、77人の犠牲者。温帯低気圧化した後に「爆弾低気圧」となり日本で大荒れの天気に。

台風28号 (タラス)

発生: 12月10日、マーシャル諸島付近
アジア名: タラス (Talas, フィリピン語で鋭さ)
フィリピン名: ゾシモ (Zosimo)
特徴: 最低気圧が992hPa以上の台風としては史上最も長寿。

台風29号 (ノルー)

発生: 12月18日、マリアナ諸島
アジア名: ノルー (Noru, 韓国語でノロジカ)
特徴: ほとんど発達せず。

気象庁が「台風」に分類しなかった熱帯低気圧

TD 01W (アンボ)
TD 02W (ブッチョイ)
TD 05W
TD (パブロ)
TD 21W
TD (ウィニー): フィリピンで1,593人もの犠牲者を出す。

外部リンク

Typhoon2000 Philippine typhoon website
Joint Typhoon Warning Center
台風の番号とアジア名の付け方
Japan Meteorological Agency - Tropical Cyclone Information (日本語)
Digital Typhoon - Typhoon Images and Information
PAGASA - Tropical Cyclone Information for the Phillipines
Tropical Cyclone Information issued by Hong Kong
* Tropical Cyclone Information issued by Taiwan

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脚注

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