2005年ドイツ連邦議会選挙

2005年ドイツ連邦議会選挙：大連立政権誕生と政治勢力図の変化

2005年9月に行われたドイツ連邦議会選挙は、前年のノルトライン＝ヴェストファーレン州議会選挙での与党敗北を受け、政権運営の危機に直面した社会民主党・緑の党連立政権が、選挙を1年前倒しして実施したものです。きっかけは、7月1日に提出されたシュレーダー首相の信任決議案が議会で否決されたことでした。これを受けて、ケーラー大統領は連邦議会を解散し、早期総選挙の開催に至りました。

選挙データと制度

投票日：2005年9月18日
首相：ゲアハルト・シュレーダー（ドイツ社会民主党）
与党：ドイツ社会民主党＋同盟90/緑の党|同盟90_緑の党（赤緑連合）
連邦議会議席数：598議席（超過議席あり）
* 選挙制度：小選挙区比例代表併用制（小選挙区299議席）

選挙制度の特徴として、比例代表制を採用しつつも、少数政党の乱立を防ぐための措置が講じられていました。具体的には、第2投票（政党への投票）で有効投票総数の5%以上を獲得、または第1投票（選挙区候補者への投票）で3人以上の当選者を出した政党のみに議席配分が行われる仕組みでした。選挙区議席が比例配分議席を上回る場合は超過議席が発生しました。

選挙結果と政権交代

選挙の結果、有権者6187万人のうち77.7%にあたる4804万人が投票し、投票率は高い数値を示しました。しかし、CDU/CSUとFDPによる中道保守連合、そしてSPDと緑の党による赤緑連合、いずれも過半数には届かず、新たな政権樹立に向けた協議が開始されました。CDU/CSU、FDP、緑の党による「ジャマイカ連合」や、SPD、FDP、緑の党による「信号連立」などが模索されましたが、政策の違いにより交渉は難航しました。

最終的に、CDU/CSUとSPDによる大連立が成立し、CDU党首のアンゲラ・メルケルが首相に就任、11月22日に新たな大連立政権が発足しました。これは、戦後ドイツにおいて異例の事態でした。

躍進したFDPと左翼党

今回の選挙では、FDPと左翼党が大きな躍進を遂げました。両党は、既存の二大政党に不満を持つ有権者の支持を集め、議席数を大きく伸ばしました。特に左翼党は、社会保障制度改革への批判を前面に押し出し、前回選挙に比べて大幅な得票増を実現しました。旧東ドイツ地域だけでなく、旧西ドイツ地域でも支持を拡大し、50議席以上を獲得して緑の党を上回りました。左翼党の躍進は、シュレーダー政権の政策に対する国民の反発を示すものとして、大きな注目を集めました。

選挙結果の解釈

今回の選挙結果から読み取れることは、国民の間に既存の二大政党に対する不満が蓄積していたこと、そして社会保障制度改革に対する批判が強かったことです。左翼党の躍進は、こうした国民の感情を反映した結果であると言えるでしょう。また、大連立政権の成立は、ドイツ政治における新たな局面の始まりを告げる出来事となりました。

今後の展望

メルケル政権下でのドイツの政治動向は、今後、国内外の注目を集めることになるでしょう。社会保障制度改革をめぐる議論、EUにおけるドイツの役割など、多くの課題が待ち受けています。

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