2008年ジンバブエ大統領選挙

2008年ジンバブエ大統領選挙

2008年ジンバブエ大統領選挙は、ロバート・ムガベ大統領の進退を問う、ジンバブエの将来を左右する重要な選挙でした。ムガベは1980年の独立以来、長年にわたり権力を掌握し、強権的な政治体制を築いてきました。しかし、その長期政権は経済の崩壊と国民生活の困窮を招き、国民の不満は高まっていました。

選挙の背景

ムガベ政権は、2000年代初頭に白人大農場の強制収用を強行し、農業生産を大幅に減少させました。これにより、ジンバブエ経済は深刻なインフレーションに見舞われ、2008年1月にはインフレ率が前年同月比で10万%を記録するまでに至りました。国民生活は困窮を極め、ムガベ政権に対する批判は日増しに強まっていました。

選挙戦の展開

選挙には、現職のロバート・ムガベ大統領に加え、最大野党・民主変革運動（MDC）のモーガン・ツァンギライ議長、シンバ・マコニ元財務相らが出馬しました。当初から、ムガベ対ツァンギライという構図が鮮明であり、国民の関心は両者の争いに集中しました。

3月29日に行われた第1回投票では、ツァンギライが最多得票を獲得したものの、過半数には届かず、決選投票が行われることになりました。しかし、決選投票までの期間中、与党ZANU-PFによる野党支持者に対する脅迫や暴力が横行し、ツァンギライは身の危険を感じ、選挙からの撤退を表明しました。

暴力と不正にまみれた決選投票

ツァンギライの撤退表明後も、ムガベ政権は決選投票を強行しました。6月28日に行われた決選投票では、ムガベが圧倒的な得票で再選を果たしましたが、その過程は暴力と不正にまみれたものでした。国際社会からは非難が相次ぎ、ジンバブエ国内は混乱を極めました。

政権樹立の難航

選挙後、南部アフリカ開発共同体（SADC）の仲介により、与野党間の協議が行われましたが、難航しました。ムガベは権力維持に固執し、ツァンギライは選挙の不正を訴え続けました。最終的に、9月15日に与野党連立政権樹立で合意しましたが、主要ポストの配分をめぐって対立が再燃し、政権運営は困難を極めました。

国際社会の反応

欧米諸国は、2008年ジンバブエ大統領選挙を不正選挙とみなし、ムガベ政権に対する制裁を強化しました。アメリカは、ムガベ大統領をはじめとする政府高官の資産凍結や渡航禁止措置を発動しました。また、EUも同様の制裁措置を決定しました。アフリカ諸国は、SADCを中心にジンバブエの政治危機の解決に向けた仲介努力を続けましたが、大きな成果は得られませんでした。

その後

2009年2月、ようやくムガベ大統領とツァンギライ首相による連立政権が発足しましたが、両者の対立は根深く、政権運営は困難を極めました。ジンバブエは、政治的混乱と経済危機から脱却することができず、国民生活は依然として厳しい状況が続きました。

2008年のジンバブエ大統領選挙は、民主主義の原則が踏みにじられ、暴力と不正が横行した悲劇的な選挙として、歴史に刻まれることになりました。

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