2009年欧州議会議員選挙 (ハンガリー)

2009年ハンガリー欧州議会議員選挙：フィデスの圧勝と政界再編

2009年6月7日、ハンガリーでは欧州議会議員選挙が実施されました。この選挙は、欧州連合（EU）の議会である欧州議会のハンガリー代表議員を改選するための重要な選挙でした。

選挙の結果は、最大野党であったフィデス＝ハンガリー市民同盟（以下、フィデス）の圧勝となりました。フィデスは、ハンガリーに割り当てられた22議席のうち14議席を獲得し、得票率は56％に達しました。これは前回選挙（2004年）の12議席から増加し、大きな勝利となりました。

一方、4月に首相に就任したばかりのバイナイ・ゴルドン率いる与党社会党は、わずか4議席を獲得するにとどまりました。これは前回選挙の9議席から大幅に減少し、惨敗といえます。社会党の支持率の低下は、政府への国民の不満の高まりを反映していると言えるでしょう。

極右政党であるヨッビク（Jobbik）は、15％弱の支持率を獲得し、3議席を獲得しました。社会党に次ぐ勢力となり、今後の政治情勢に大きな影響を与える可能性があります。

ハンガリー民主フォーラムは、阻止条項である5％をわずかに上回り、1議席を獲得しました。前回選挙で1議席を獲得していたため、議席数を維持した形です。

一方、前回選挙で2議席を獲得していた自由民主同盟（SZDSZ）は、支持率が2％台に留まり、議席を失いました。これは民主化後、国政選挙や欧州議会選挙において初めてのことです。

選挙結果を受けて、自由民主同盟の党首であるフォドルは6月13日に辞任を表明しました。さらに、多数の党幹部も相次いで辞任を発表し、自由民主同盟は大きな打撃を受けました。

この選挙の結果は、ハンガリーの政治状況に大きな変化をもたらしました。フィデスの圧勝は、同党の政治的影響力をさらに強めることとなり、今後の政策決定に大きな影響を与えるでしょう。また、社会党の大敗は、政府の政策転換を迫る可能性があります。さらに、ヨッビクの躍進は、極右勢力の台頭を懸念させるものとなっています。

選挙制度は比例代表制（ドント式）で、全国1選挙区で行われました。有権者は、政党または合同リストに投票する拘束名簿式でした。投票権は18歳以上のEU市民に与えられました。議員の任期は5年です。

この選挙は、ハンガリーの政治的再編の始まりとなる重要な出来事でした。フィデスの台頭、社会党の衰退、そして極右勢力の伸長といった、さまざまな要因が今後のハンガリー政治の行方に影響を与えることでしょう。今後の動向に注目していく必要があります。

基礎データ

議員定数（ハンガリー割当分）：22議席（2004年選挙より2減）
選挙権・被選挙権：18歳以上のEU市民
議員任期：5年
選挙制度：比例代表（ドント式）
選挙区：全国1選挙区
投票：拘束名簿式
阻止条項：5％

出典

『欧州議会選挙 - 2004年以降(現行)』中東欧・旧ソ連諸国の選挙データ (2014年7月6日閲覧)
“Az Európai Parlamenti választáson leadott szavazatok”. OVI（全国選挙管理事務所）(2009年6月11日) (2014年7月5日閲覧)
“Az Európai Parlamenti választás összesített eredménye”. OVI (2009年6月11日) (2014年7月6日閲覧)
2009 Európai Parlamenti választások (OVI)
中東欧・旧ソ連諸国の選挙データ（北海道大学スラブ研究センター）

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