2015年のヨーロピアン・ル・マン・シリーズ

2015年のヨーロピアン・ル・マン・シリーズは、フランス西部自動車クラブ（ACO）が統括する、ヨーロッパを舞台にしたスポーツプロトタイプカーレースの最高峰シリーズです。このシーズンは、シリーズ開始から12年目にあたる大会でした。

4月11日、イギリスのシルバーストン・サーキットで開幕を迎えたこのシリーズは、FIA世界耐久選手権と合同開催という形でスタートを切りました。その後、オーストリアのレッドブル・リンク、フランスのポール・リカール、イタリアのイモラ、そしてポルトガルのエストリルと、ヨーロッパ各地を転戦し、10月18日にエストリルでの最終戦をもって全5戦のシーズンが幕を閉じました。

LMP2クラスでは、グリーヴス・モータースポーツ、Jotaスポーツ、ティリエ・バイ・TDSレーシングの3チームが優勝を争う激しい戦いを繰り広げました。シーズンを通して首位争いを演じたのは、Jotaスポーツ、そしてグリーヴス・モータースポーツの2チームでした。最終的に僅か2ポイント差でチャンピオンの座に輝いたのは、シルバーストンとル・カステレで優勝を収めたグリーヴス・モータースポーツでした。ドライバーズランキングでも、同チームのドライバーであるガリー・ヒルシュ、ジョン・ランカスター、ビヨン・ビルドハイムが上位に食い込みました。一方、最終戦エストリルとイモラで勝利を飾ったティリエ・バイ・TDSレーシングはランキング2位となり、ルドヴィック・バデイとピエール・ティリエというドライバー陣も、ドライバーズランキングで2位という好成績を残しました。

2015年に新設されたLMP3クラスでは、チームLNTが圧倒的な強さを見せつけました。2台の車両を走らせた同チームは、全5戦中4勝という圧勝劇を演じ、その内の3勝を挙げたクリス・ホイとチャーリー・ロバートソンは、最終戦を待たずにチャンピオンを決定づけました。一方、唯一チームLNT勢が敗北を喫したイモラでは、ボルトン大学チームが勝利し、シリーズに彩りを添えました。

LM GTEクラスでは、レッドブル・リンクとル・カステレで連勝を飾ったフォーミュラ・レーシングが、チームとドライバーの両タイトルを獲得しました。ジョニー・ラウルセン、ミッケル・マック、アンドレア・リツォーリという強力なドライバー陣を擁した同チームは、シーズンを通して安定した走りで、ライバルチームを圧倒しました。

GTCクラスでは、TDSレーシングがチームとドライバーの両タイトルを獲得しました。シルバーストンとル・カステレで優勝し、最終戦エストリルでも2位に入るという安定した成績を残し、2位チームに20ポイントの大差をつけて、文句なしの優勝を決めました。

2015年シーズンの大きなトピックとして、ACOによってLMP3クラスが新設されたことが挙げられます。このクラスの導入は、若手ドライバーやチームにプロトタイプカーレースへの参入機会を提供することを目的としていました。日産製V8エンジンを搭載した、比較的低コストなマシンを使用することで、多くのチームが参戦しやすくなったと言えるでしょう。

シーズンを通して、各クラスで激しい戦いが繰り広げられ、多くのドラマが生まれた2015年のヨーロピアン・ル・マン・シリーズ。各チームの戦略、ドライバーの技量、マシンの性能、そして運が絡み合う中で、それぞれのクラスで栄光のチャンピオンが決定しました。 このシーズンは、シリーズの歴史に新たな一ページを刻む、記憶に残る大会となりました。

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