2016年の世界ツーリングカー選手権

2016年世界ツーリングカー選手権：激動のシーズンレビュー

2016年の[世界ツーリングカー選手権]は、FIAが主催するスーパー2000規定によるレースの13シーズン目、そして2005年の選手権再開後としては12シーズン目でした。このシーズンは、新たなマニファクチャラーの参入やレギュレーションの変更、そして予期せぬレースカレンダーの変更など、多くの注目すべき出来事が発生しました。

新たな挑戦者と撤退：

この年は、ボルボがポールスターとタッグを組み、ボルボS60でWTCCに初参戦しました。一方、長年選手権をリードしてきたシトロエンは、エントリー台数を2台に削減し、翌2017年の選手権からの撤退を発表しました。これは、選手権の勢力図に大きな変化をもたらす出来事となりました。

新フォーマットの導入：Manufacturers Against the Clock (MAC3)

2016年シーズンから、マニファクチャラーごとに3台のマシンで構成される「Manufacturers Against the Clock (MAC3)」という新しいチームタイムトライアルフォーマットが導入されました。各マニファクチャラーは、同時に2ラップ（ニュルブルクリンクでは1ラップ）を走行し、最後のマシンの合計時間で順位が決定されます。なお、チームの3台のマシンは、15秒以内の差でフィニッシュする必要がありました。この新フォーマットは、チーム戦略とドライバー間の連携に大きな影響を与えました。

レースカレンダーの変更：

当初発表された暫定スケジュールは、ロシアラウンドをモスクワ・レースウェイからソチ・オートドロームに変更することを予定していました。しかし、その後スケジュールが修正され、最終的にはモスクワで開催されることとなりました。また、主催者間の合意に至らなかったため、タイで開催予定だったレースはキャンセルとなり、シリーズは当初予定より1ラウンド少ない11ラウンドに短縮されました。

重量ハンディキャップシステム：

競争力の高い車両には、80kgのハンディウエイトが積載されました。それ以外の車両には、前3ラウンドの結果に基づいて算出されたウエイトが積載されました。好成績を残した車両は、0kgから80kgの補正ウエイトを積載することとなり、常にバランスの取れた競争が保たれるように設計されていました。特に、最初の2ラウンドではシトロエンC-エリゼWTCCが80kgのウエイトを積載しました。

ポイントシステムとランキング：

ドライバーズランキング、マニファクチャラーズランキング、そしてWTCCチームズトロフィー、WTCCトロフィーなど、複数のランキングが設けられていました。各ランキングには独自のポイントシステムが適用され、メインレースの予選順位によるボーナスポイントなども存在しました。マニファクチャラーズランキングでは、各マニファクチャラーの上位2台のみがポイントを獲得し、MAC3でもポイントが加算されました。WTCCトロフィーは、ワークスチーム以外のチームを対象としたランキングでした。

レギュレーションの変更：

2016年シーズンのレギュレーションは、2015年12月の世界モータースポーツ評議会総会でFIAによって承認されました。主な変更点としては、リバースグリッドの適用レースの変更、MAC3の導入、そして最速車両へのハンディウエイト増加などがありました。これらの変更は、レース展開に多様性をもたらし、よりエキサイティングなレースを演出しました。

まとめ：

2016年WTCCシーズンは、新たなマニファクチャラーの参入、レギュレーションの変更、そして予期せぬレースカレンダーの変更など、多くの変化に富んだシーズンでした。これらの変化は、選手権全体の競争レベルを高め、非常に記憶に残るシーズンとなりました。ボルボの躍進、シトロエンの撤退、そして新しいMAC3フォーマットの導入は、WTCCの歴史における重要な転換期となりました。 各チーム、ドライバーの戦略とパフォーマンス、そして技術革新が複雑に絡み合った、まさに激動のシーズンだったと言えるでしょう。

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